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裏庭 梨木香歩著

主人公照美の家のそばには、バーンズ屋敷と呼ばれる古びた洋館があり、その裏庭は子どもたちの秘密の遊び場になっていた。照美が遊びに夢中になっている間に、障害のあった双子の弟は、裏庭の池に落ち風邪をこじらせて死んだ。以来裏庭を避けるようになった照美が、再び裏庭へと足を踏み入れたとき、魂の成長への旅が始まった。

本格的ファンタジーであり、しかも主人公の内的成長を、小綺麗にまとめてしまわず、生々しく表現しており、児童文学に留まらない凄みを感じる。餓鬼のシーンや、旅の仲間を斬り殺す場面は、従来の子供向けのお話には、あり得なかった場面だ。子供をおみそあつかいにしない、真剣勝負の児童文学だと思う。作者にはかなり心理学の知識があるとおもわれ、随所にそれを感じさせる箇所がある。この人の本はどれを読んでも、凄い。凄すぎて、言葉少なになってしまうほどだ。

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コメント

やっと手が着きました。でも半日で読み終わりました。この本に出会えたのはこのブログのおかげです。ありがとうございました。
こんな話を書ける人が日本にもいるんですね。〈自分の好きな小説ベスト 10〉なんてリストを作ったら確実にベスト 5 には入りそうです。児童とかファンタジーとかの枠に抑えこむのはもったいない。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』や『千と千尋の神隠し』に通じるところがあるとも思いました。

投稿: かえる | 2005年6月17日 (金) 21時29分

そう、ジャンルを超えてしまってますよね。この方の著作は決してはずしません。「りかさん」「エンジェル・エンジェル」「からくりからくさ」「西の魔女は死んだ」を読みましたが、ちょっと感想も書き辛いほど、すべて深い内容でした。思い入れがあると感想も簡単には書けなくて。ゆっくりまとめて書いていきたいと思っています。「西の魔女は死んだ」を読んだときはこういう作品が存在することに驚きました。以前童話のようなものを書いていたのですが、「西の魔女は死んだ」はまさに自分が書きたいと思っていた理想の作品だったので。(とても私が書けるレベルのものではないのですが)

投稿: yukiwarisou | 2005年6月18日 (土) 18時38分

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» 「裏庭」梨木香歩 [まんだの読書日記]
◆『裏庭』梨木香歩 /新潮文庫 ▽あらすじ すっかり荒れ果て、近所の子どもたちの遊び場となっていた英国風の古いお屋敷。 照美たち家族の関係がおかしくなったのは、その庭で双子の弟を亡くした時から。 ある日、屋敷に伝わる秘密を聞いた照美は、すっかり足が遠のいていたこの屋敷を再び訪れる。 「フーアーユー?」 「テ・ル・ミィ」 不思議な大鏡の前に立った照美に問い掛ける声。 それに応えて、彼女は秘密の「裏庭」へと迷い込んでしま�... [続きを読む]

受信: 2005年4月23日 (土) 00時00分

» 裏庭@梨木香歩 [pcfxuser's blog]
本は心の栄養です。 良い物語を読めば、心が洗われる。 読書の秋は過ぎましたが、年末年始で暇をしているなら、一冊いかがです? 読書レビュー第一号は、梨木香歩著「裏庭」です。 理論社ライブラリーからハードカバーの単行本、新潮文庫より文庫本の形式で発...... [続きを読む]

受信: 2005年12月14日 (水) 00時50分

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