« 2005年7月 | トップページ | 2005年9月 »

オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎著

オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎著
 コンピューター会社のプログラマー伊藤は、ある日突然仕事をやめ、羽目を外したいという理由でコンビニ強盗未遂を犯してしまう。伊藤を捕まえた警察官は、人を破壊することを生きがいとする中学時代の同級生、城山だった。これからどうなってしまうのか、お先真っ暗というところで、乗っていたパトカーが事故にあい、伊藤は車から投げ出される。気がつくと、伊藤は、江戸時代から鎖国しているという不思議な島にいた。その島は外界から完全に閉ざされ、島の住人は未来が見えるかかしを人生の指針として生きていた。
 しゃべるかかし。悪人を銃殺することを黙認されている美青年。嘘しか口にしない画家。地面の音を聞く女の子。太りすぎて動けなくなり旦那の世話になりながら市場で暮らす「ウサギさん」。かなりシュールな世界だが、そこに生きる人たちの生き方には、荒唐無稽と切って捨てることが出来ないリアルさがある。これだけ突飛な話に読者をぐいぐい引き込むことが出来る筆力はもの凄い。
 意味不明に思われた一つ一つの出来事が、最後の最後で、ぴしっぴしっとパズルがはまっていくようにひとつの形を作り上げていく様子は感動物。真夏なのに鳥肌が立ちまくりでした。デビュー作がこの作品とは空恐ろしい。さぞかし文壇は揺れたことでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2005年7月 | トップページ | 2005年9月 »