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Basket Caseようやく読了

作者はカール・ハイアセンという人です。訳書と見比べながら読んでいたので、一年近くもかかってしまいました。訳書を一気に読んでしまいたいのをぐっと我慢して読み通しました。ほんとは自分でも訳してそれから訳書と照らし合わせるのが一番なのですが、残念ながらそこまでの根気はありませんでした。
訳書は「ロックンロール・ウィドー」。文春文庫から出ています。石田衣良氏のお勧め本です。わかるなーという感じです。テンポがよくて、会話もおしゃれで、石田衣良さんの作品にどことなく似ています。訳が難しそうな本です。へたな人が訳せば、このおしゃれな雰囲気はとても出てこないでしょう。
 
 カール・ハイアセンというひとの作り出すキャラクターはいつも一風変わっています。今回は死に対して病的な強迫観念を抱く中年の新聞記者、ジャックが主人公です。巨悪に屈しない敏腕記者でありながら、社のオーナーにはむかったために左遷され、よりによって死亡記事欄担当に回されてしまいます。そこでたまたま、ダイビング中に事故死したロック歌手ジミー・ストマの記事を担当することになったところから物語は始まります。ロック歌手には若い未亡人がおり、この未亡人、クリオがまた怪しげで、夫が亡くなったばかりだというのに家に若い男を連れ込んだり、夫の葬式で自分の歌のプロモーションまがいのことをしたり、やたらと急いで夫の遺体を火葬にしたりと、とにかく胡散臭い。一面記事の記者へ返り咲く機会を虎視眈々と狙っていたジャックは、ロック歌手の死が殺人であることを確信し、証拠を追い始めます。 

ジャック以外の登場人物もかなり個性豊かです。スワット隊員のコスプレでネットアイドル?をやっている、ジミーストマの妹ジャネット。髪を毎回度派手な色に染め替えて登場する、ぶっとび女子高生カーラは、ジャックの元恋人の娘。ジャックに若者文化を教授してくれる若き智恵袋です。27歳の上司エマは、一筋縄では扱えないジャックのせいで、ストレスを山のように抱えて胃薬を隠し持っています。

いわゆる謎解きを主眼にしたミステリではないので、犯人も、殺害方法もとりたてて目新しいものではありませんが、とにかくテンポが良くて、個性豊かなキャラクター達の繰り広げる世界が楽しい。読み終わる頃には皮肉やで、人の死んだ年ばかり気にしている、ちょっと偏執狂のジャックが好きになっています。読み終わるのが惜しい本です。

(英語的にはかなり難しかったです。文章自体は易しい方なのですが、俗語がぽんぽん出てくるし、ジャックの皮肉の効いたせりふがまた意味をとりにくいんですよね。)
 

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