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前回の反省

今回はお当番でした。新しい課題作品のトップバッターだったので緊張しました。
それでは早速。

1原文の文体をくみ取る
 on the stroke of ~「~時の鐘がなった時」という意味の語句ですが、「~時ちょうどに」などとシンプルに訳してしまうとニュアンスが出ません。
作者が凝った表現を使っている場合、訳出の際にも気を配らないといけません。

 
2小説の導入部分は、まだ判明していないことも多いので注意。
 訳者は先の方まで読んで訳しているので、つい読んだ内容を前提に書いてしまいがちですが、読者にはまだ伝えるべきでない情報もあります。作者はもちろんそのつもりで書いていますので、きちんと意図をくみ取って隠して訳すこと。


3 語順を原文に合わせた方が良い場合には、後戻り訳をしない。
後ろの文とリンクしている場合は、後戻り訳をして流れを断ち切らないこと。毎回のように反省して、注意しているつもりなんですが無意識でやってしまうらしく、見落としてしまいます。今回の場合、臨場感あふれるスピーディな展開になっており、とくに流れを断ち切らないように注意が必要。

4 接続詞があったら、なにを受けているのか考えること。
基本中の基本のような気もしますが、butのような接続詞があったら、なにがbutなのかしっかり考えること。意外に機械的に訳してしまいがち。


5 作者の意図を読者に伝えられるか?
  自分では、流れの中でその文の果たす役割を分かっていたとしても、訳文に出す努力をしなければだめ。ちょっとした単語にも役割があることがあるので、訳出しづらいからといって削らないこと。

6 自分を抑えること
 気の利いた表現が浮かんだと思っても冷静になること。そこにあてはめるのは適切でしょうか?


7 辞書は最後まで見ましょう
 辞書は下の方までチェックしないとだめ。最初の方だけちょろっとみて済ませがちですが、怠るととんでもない訳に。 

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幸福な食卓 瀬尾まいこ著

「今日から父さんは父さんをやめようと思う。」こんなインパクトのある台詞にひかれて思わず手に取った。毎朝決まって家族全員で食卓を囲む、絵に描いたような幸せな家族。しかしその裏側で、家族は静かに壊れていた。何の前触れもなく父親が自殺を図ったことで、家族は一気にバラバラになる。自殺は未遂に終わったものの、母は自分を責めるあまり父の側にいられなくなり、家を出て行った。成績優秀だった兄は大学進学を拒み、農業の道を選ぶ。事件に何の影響も受けていないようでいながら、実は一番病んでいたのはこの兄だった。父の遺書を参考に、何事も真剣に取り組まないという形でバランスを取るようになってしまっていた兄は、どの女性と付き合っても上手くいかない。
そして、末っ子の妹(主人公)は事件があった梅雨が来ると毎年激しい頭痛に悩まされる。

こう書くと、相当救いのない話のような感じだが、実はどちらかといえば、明るい再生の物語だ。家族で交わされる会話には、掛け合い漫才のようなユーモアさえ漂っている。バラバラになった家族は、バラバラのまま奇妙なバランスを保ちつつ、かえって一見幸福そのものだった昔よりも絆を深めていく。

 仕事をやめ、肩書も何もない自分に戻って生き方を探る父。家を出て、羽が生えたように初めての一人暮らしをめいっぱい楽しんでいる母。心に空洞を抱えながらも飄々と生きる兄、なおちゃん。傍若無人で傲慢だが、不器用でやさしい、兄の彼女ヨシコ。この魅力的なキャラクターたちが織りなすちょっと不思議な雰囲気のホームドラマ。人の心の機微というか、細かい感情の揺れの描き方がうまいと思った。ああ、あるある、と一人頷いてしまうような箇所がいくつもあった。細部がリアルだと小説自体がよりリアルになる。
特に主人公がいじめにあいそうになるシーン。なんとなく気分で流されるようにいじめをする高校生の雰囲気がよくでていた。

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あけましておめでとうございます

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遅まきながら、皆様明けましておめでとうございます。
 昨年は私のような未熟者のブログに足を運んでくださりありがとうございました。
今年もこんな調子でだらだらと続けていくかとは思いますが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 さて、新しい年も始まり、気持ちも新たに今年の抱負、と行きたいところですが、その前に昨年の反省もしなければなりません。昨年の目標といえば、洋書の多読。多読宣言までしてしまったのに、目標の冊数には遠く及びませんでした。冊数で言うとあまりに寂しいので、ページ数に換算すると2100ページ弱。2ヶ月に一冊いくかどうかというスピード。情けないですねー。今年こそは多読するぞ(日本の本も)ー。せめて一ヶ月に1冊くらいは読むことを目標に。

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