前回は夏休み明け第1回目、お当番でした。お当番の日はとくに復習が辛い。自分やみなさんの訳文を見るのが怖いです。しかし、ここはぐっとおなかに力を入れて、しっかり訳文に向き合わなければ。
それでは、
1 何が言いたい文章か
ここのところ毎回書いているような……。その文が何を言いたいがために書かれた文章なのか、意識した上で訳すこと。直訳すれば「~には87軒のバーがあり、30万人の人間に酒を提供している」となる箇所でしたが、ここで言いたいのは、酒場に何人出入りしているかではなく、この町の人口のこと。それを踏まえて訳さないと、後ろの文章につながりません。
2 思いこまない
"yawn to their cars "お酒飲んで千鳥足で車に歩いていってすることといったら…当然吐くことよねっ!(←おいおい……)と思いこんでしまいました。ここではyawn はあくびをするということ。「あくび交じりで車に向かう」ということでした。さては、普段の生活態度が訳文に出てしまったか。思い込まない!訳語は一つだけではありません。他の可能性も考えること。
3 対比
今回の箇所では、重要な対比が描かれていました。普通の人々の世界と、主人公のすむ闇の世界の対比です。英語を訳すのに一杯一杯になっていると、近視になってしまい、対比に気が付きません。一歩引いた目で文章を見てみること。そしてその対比を際立たせるために必要な訳語を選ぶことが大切です。"he walks sober and rested among the drunk and tired."主人公が酔っ払い、くたびれた普通の人たちの中を歩く場面ですが、この場合sober and rested はdrunk and tired と対比になっています。sober(しらふ)はいいとして、 restedを「くつろいで」といったプラスイメージの言葉で訳してしまうと、闇の世界に属する主人公のイメージにそぐいません。単に、drunk and tired の反対で、酔っ払っておらず、「疲れていない」ということ。読者をミスリードしてしまうような色をつけて訳さない。どうしてもそんな訳しか思いつかなければ、切ってしまうほうがベターです。
4 どこを強調するか
"everygodambody" "everybody"に"godam"がついて強調されていました。強調されている場合、何を強調したいのか見極めましょう。全員という量的なものを強調したいのか。今回の場合、前の文で列挙されていた怪しげな職業の人たちのことを考えれば、問題となっているのは量的なものではなく、質的なものであることが分かります。「ろくでなしども」といった強調の仕方が正しい。前後もきちんとみて訳すこと。
5 長い文章は途中できる。
基本的な技術なのに、すっかり忘れていました。長さに苦しんで何とかしようといじりまわした挙句奇妙な文章になってしまいました。一旦切ってしまえば楽になります。
6 しばらく置いて見直すか、人に見てもらう。
当番だったせいか、力が入りすぎ、ひねくり回したあげく妙な文章になってしまった箇所が数箇所ありました。主語がなくなってしまっていたり、因果関係が変になってしまっていたり。さめた目で読み直せばすぐ分かるところです。少し訳文を寝かしておくのも大事だなー、と痛感。
今回は、超初心者のようなミスも連発してしまいましたが、先生に表現を誉めていただいた箇所や、流れに沿った訳をすることが出来た箇所もあり、こうして「反省」してきたことが少しは役に立ってるのかなー(だといいなー)と思いました。道は遠いけれど、一歩一歩前に進むしかないですね。
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