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前回の復習

1 何度も出てくる固有名詞
いちいち訳さなくてもOKです。店の名前が何度も出てくるので、どうしようか悩んだんですが、先生は単に「店の中は」というように、店名を略して訳されていました。そのつど訳すとかえってしつこくなる場合もあるので注意。また、逆に、英語の文章では、同じ人間や物のことを、別の表現で言い換えをすることがあるため、別のものと勘違いしないようにしなければいけません。今回ダイニングとリビングについての描写があったのですがで、この二つの部屋がtwo main rooms"と言いかえられていたのを、べつに二つの部屋があるのかと勘違いしてしまいました。そういえばちょとあれっと思ったんだよなー最初。引っかかりのあった場所は忘れないで再度チェックすること。

2 主語の言い換え
スムーズな表現のために、主語を言いかえるのも有効です。何でもないところだったんですが、今回妙に訳しづらく、いじりまわしていたのが、
there are six tables -poker games going on at two of the tables, at the other four, people are eating ribs. 直訳では「テーブルが6脚あり、そのうち2脚ではポーカーが行われ、残りの4脚では人々がリブを食べている」ですが、原文どおりテーブル主体で訳していくとどうも決まらない。先生のように、テーブルが6脚というところで一旦文章を切り(そう、一旦切るのも大事……なんですがよく忘れます)、その後の主語を「客」にすればスムーズな訳に。 

3 どの訳語を選ぶか
 単語にはどれも複数の意味があります。そのなかから文脈にあった訳語を当てていく必要がありますが、その際、なぜその訳語を選ぶのか常に意識すること。マスターがカウンター下にkeepしている酒という文章の場合、keepには残しておくとか、隠しておくという意味もありますが、それでいいののか?いいのだとすればどうして隠したり、残して置いたりしなければいけないのか?そこまで意識しなければいけませんでした。今回の場合、keepにそのような色をつけていはいけないところだったようです。単に「保管」の意味でした。

4 all know の気持ち
「そこで、主人公が長口舌しはじめるのはall know」だった。という文章。all にこめられた意味をきちんと拾うことが出来ませんでした。仲間内では周知の事実、いつものことだ、というニュアンスがこめられていました。一つの単語にも、文の流れを作る意味がちゃんとあることを忘れずに。

5 先までよく読むこと
 同じしぐさを訳す場合でも、そのしぐさをする背景が違うと、訳し方がまるで変わってきます。主人公と目があったヒロインがふっと天井を見上げるしぐさ。子どもが風船を目で追うようだという描写がついていました。悲しい(マイナス感情)のか、嬉しい(プラス感情)のかで、色のつけ方が変わります。私はついつい、子どもと風船の例えに引き摺られ、悲しげに訳してしまいましたが、よくよく先まで読んでみるとどうも違うような。その場面の印象だけで決めてしまわないこと。

6 without は苦手
 withoutは苦手です。「~なしに」ではなく、ひっくり返して訳すとうまくいく場合が多い気がします。難しい文章でした。難しいとその一文だけに意識が集中してしまいますが、小説という流れの中にあることは変わりません。段落が変わったりしていない限り、必ず前の文章の続きであることを肝に銘じましょう。難しさのあまりすっかり近視になってしまった私は、前後の関係を無視し、そこだけ浮き上がった訳をつけてしまいました。分からなかったとしてもせめて流れに合うような訳をつけたいもの。先生のお言葉によると、分からなくても方向性を決めたら自身ありげに訳せとのことでした。
 

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前々回の復習

またもや復習が遅れ気味に。いまパソコンを修理に出しているのでますます遅れてしまいそう。とりあえず職場のパソコンから。

1 矛盾があれば解消する
あることがきっかけでよそよそしかった態度が、alarming and closeに変わるというシーン。直訳すると「警戒しながらも打ち解けている」という、わけの分からない状態に。矛盾する表現はそのまま放置しないこと。矛盾には気が付いたため何とかしたくて「驚くほど親密」としました。誤訳ですが。

2 強すぎる表現
the worst of the things is 直訳では「最悪なのは」ですが、ここの文脈はそれほど厳しい状態を表しているわけではありませんでした。原文に引き摺られず、語調の強さを適切に調節できるようになりたいもの。先生は「やっかいなのは」とされていました。この文脈にはぴったりでした。

3 プロフェッショナルクラス?
  辞書を見ると「知的階級」とあります。しかしここではそんな人達は出てきません。おかしいなーと思ったのでさすがにその訳は避けましたが、どうとでもとることができるよう、ごまかし気味に「この業界」というあいまいな訳をつけてしまいました。この業界っていったいどの業界?自信のなさが現れています。どちらか方向性を決めて、とにかく読者が分かるように訳すこと。

4 日本人にとって一般的ではない言葉の場合
 今回はポーカーをやっている場面だったのですが、ポーカー用語は日本人には分かりづらいので、説明してあげるか、使用を避けること。「ベット」だったら「賭ける」というように分かりやすい訳にかえましょう。

5 もしわたしが鳥だったら。

 昔の英語の授業を思い出しました。仮定法の例文には必ず出てきた一文。今回は”Wish I had a sister.”ねえちゃんがいたらなあ!でした。初体験についての男二人の会話で、「いつだった?」「13歳のとき。」「いいなーおれにもねーちゃんがいたらなあ」という流れだったんですが、そこまではいいとして、次の一文が"it was your sister." そのまま訳すと全く意味不明です。ねーちゃんいないんじゃなかったの??先生と生徒さんのお一人は、「そんなことをしてくれる姉さん」という情報を付加して、冗談として通じるようにうまく処理されていました。あー、まったく思いもつかなかった。私は逆に情報をマイナスして意味が通るように調整しましたが、冗談としては今ひとつになってしまいました。情報プラスするって勇気がいるんですよね。高度テクニックでした。

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力の見極め、失敗

連休だったので出版翻訳のトライアルに挑戦しようとおもい、部屋に缶詰になっていました。二つのトライアルがあったのですが、両方を仕上げるのは時間的にきつそうだったので、短い方を選択して訳し始めました。しかしあまりに専門的すぎて、一日訳した挙句断念。もう一方はやたら長かったのですが難易度はそれほどでもなかったので、急遽進路変更して今日一日かけて訳しつづけていました。なんとか素訳は終わったけど、推敲して読めるレベルまで仕上げるには今までかけた倍以上の時間が掛かります。明日から仕事があるし、ああ、どう考えても間に合わない。今日一日の努力はなんだったんだー。長さにひるまず、早い段階で、こっちを選択しておけばよかった。仕事しながらトライアルを」受けるのって大変なんだな。っていうか、トライアルくらい、仕事しながらでもこなせなければ、この先、困ることになるよなー。間違いなく。今まで受けていたアメリア主催の定例トライアルは、短くて文章的にもやさしめだったのでなんとかなったけど。

とりあえず、今回の教訓

自分の今の力でやれるかやれないか瞬時に判断。決めたら迷わず進むこと。

次回の翻訳ゼミの宿題に手をつけられなかったのは痛いけど、長い文章を訳して、自分のスピードがなんとなくつかめました。私のレベルでは、あと丸一日は必要そう(かけすぎですねー)。長い文章を訳すのに慣れていないのでもうちょっと何とかしなければ。

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前回の反省

1 登場人物同士の関係に留意
今回、メインキャラクターの一人、売春婦のベスが初登場。主人公が彼女をどう思っているのか読み取って、訳文に反映させること。ベスの美しさを描いている場面ではあるが、手放しでほめているわけではない。しかし、軽蔑しているわけでもなくむしろ一目置いているという、微妙な感情が現れるように。彼女を表現する時は、同情一本やりの目線で描くことも、逆に「トウが立った」というような悪意ある形容をすることも、どちらも避けないといけません。今後も注意が必要そうです。

2 意味は分かるのに~。
"their eyes catch long enough for both of them to note."直訳すれば、「互いが気づくのに十分なほど長く目があっている。」つまり、視線がぶつかって、そのまましばし見つめあうという感じですね。映画やドラマでよくありそうなシーンです。感じはよーく分かるのですが、日本語にしようとするとかなり難しかった。長さを出そうと、苦し紛れに「視線がぶつかり、絡み合う」としましたが、二人の間に流れる微妙な感情の機微を出すのには不十分。先生は「不自然に思えるくらい長く」という一言を加えておられました。そのほかにも「互いに意識するほどの間」とされている方や、柔軟に主人公の視点から表現して処理されている方もいらっしゃいました。その手もあったか。

3 文字通り受けとらない
"one big accomplishment" のために、ベスは皆から一目置かれているというくだりですが、何を達成したのかに注意。直訳すれば偉業ですが、「麻薬をやめた」ことは偉業というほどかどうか。先生は、「ちょっとしたことをやってのけた」とされていました。何が偉業かは見方にもよるとは思いますが、直訳して安心してしまう姿勢はいいかげん改めなければ。

4 もう一歩踏み込む
"with brown hair and eyes that dart from attention." ベスという女性を描いている場面。彼女の目はどんな目なのか。難しい一文でした。人目をひく髪と目ということか?と最初は思いましたが、どう見ても文法的にはへん。attention を避けて目がdartする、動くというところまで分かりましたが、自分の中では消化しきれていませんでした。この文章は、後ろの、「人付き合いが悪い」という文章にもつながっていきます。分かったところで安心せず、しっかり消化してつながりもきちんと処理するように訳しましょう。 

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