お当番でした。最近は人数が減ったせいか回ってくるのが早いような気がします。
それにしても、いつも同じような反省をくり返しているような。でも、自分なりに工夫した箇所をほめて頂けたりしたので、励みになりましたー。
1 適切な訳語を選ぶ
alleyを路地と訳してしまいました、路地だとかなり狭そうなイメージがあります。今回の場合、このalleyには車が入ってきています。路地に車はちょっと無理がありました。
2 事実の確認
歴史的な事実などが出てくる場合は、きちんと事実確認すること。「レーガンとカーターが選挙戦でdead heatを繰り広げる」というような一文が出てきたのですが、私は辞書の定義だけ見て、デッドヒートを「好勝負 引き分け」と訳してしまいました。この選挙戦については調べたつもりでしたが、調べただけで満足してしまっていたのかも。訳文に生かせなければ意味はありません。つねに疑問を持たなければ。選挙直前までカーターの方が圧倒的に有利だったので、引き分けという訳はありえませんでした。
3 日本人になじみのない事柄
アメリカ人なら常識でも、日本人にとっては聞き慣れない事件などについては、補足情報を補って訳しましょう(訳注に頼らず文中に入れ込むこと)。つい、忘れてしまうんですよね。
4 時間をおいて見直すこと
やっぱり少し寝かせないとだめですねー。狭い裏道に車が入ってきて逃げ場がないというシーン。逃げ場がないので「待ち構えるのみ」というような訳をつけてしまいましたが、「待つしかない」と訳すべき所。妙にやる気満々なかんじになってしまっています。時間をおいて冷静に見てみると明らかに変。
5 カンマ一つでも見逃さないこと
カンマではありませんでしたがクウォーテーションマークを見逃しました。主人公の感想かと思って訳してしまいましたが、実はよく見ると引用符が。別の人物の台詞が引用されていました。そもそも、それが主人公の口調ではないことに気づかないのはまずいよなー。
6 冷ややかに?
学生時代に習った受験英語では、主語も述語もきちんとあって文法的に綺麗なものしか出てきませんでしたが、小説にはいろんな文章が出てきます。省略が多くてどうにでも取れてしまう場合も少なくありません。つねに全体の流れを見ておかないととんでもない誤訳になりかねません。今回は、he turned back-cold.冷ややかに振り返ったとしてしまいましたが、このcoldは嫌な予感で血の気がひいたとするほうが今回の場合流れにあっていますし、小説として効果的です。
7 深い意味がないと判断したら、さらりと描写風にやくすこと。
人のしぐさとか、物の動きといった訳に意外と悩まされることがあります。車が一旦止まってブレーキライトを付けながら角を曲がるというシーンがありましたが、訳しかたによっては妙に意味ありげになってしまいます(合図でも送っているのかと思われかねません)。深い意味がない単なる描写なら、それらしくさらりと流して訳すこと。誤解を招くような意味を持たせない。
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