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机を買いました

念願の机を買いました。下訳期間中はずっとダイニングテーブルで耐えてたからなー。うれしいので、珍しく写真などをアップ。
土間に置くことにしました。(何故か土間があります。しかも、妙に広い。URはときどき変わった間取りの部屋を作ります)賃貸なので、引越も考えて組み立て式のものにしたのですが、割合しっかりしています。共用廊下に面しているため、落ち着かないかとも思ったのですが、座ってみるとなかなかよい感じです。差し込み口が遠くてインターネットにつなげないのが難ですが(無線LANを組むのは面倒)、そのお陰で逆に集中できる気がします。つながっていると、ついだらだらとネットサーフィンをしてしまうので。なんだか書斎ができたようでうれしい。あとは、座り心地のいい椅子を買うだけです。今使っているのは、硬い木製の折りたたみ椅子なので、長時間座るのはちょっと・・・。長く座っても疲れないのがいいなあ。肘掛は入らない気がするけど、ヘッドレストなんかはついている方がやっぱり楽なのかしら。Dsc00122

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前回の反省

お当番でした。気合を入れたつもりだったのに、力を入れる場所を間違ってました。今回は、何がどう目に入ってくると順番として自然でスムーズか、という語順の問題ばかり考えていました。新しい作品の冒頭部分はとても大事です。語順もいいけど(しかも、いじりすぎて妙なことになってるし)、肝心なところで読み間違えてしまってはどうしようもありません。小手先だけでいじり回さず、もっと、大きな目で作品を捉えられるようにならないと。

1 冒頭で気をつけるところ

 この冒頭部分、自分でもとても訳しづらく、何パターンかつくってプリントアウトしていました。登場人物の属性の描写から、現在の行動に移行するところがどうしても上手くいかない感じがして、いじり回してましたが、まるで見当違いのこだわりだったみたい。

 冒頭部分には、登場人物が次々登場してきます。初対面は肝心です。作者がその登場人物をどう見せたいのかきちんと考えること。そこから形容詞の方向性もすべて決まってきます。おおもとをつかむこと。
 今回の場合、のっけから犯人が登場してきます。それをいかに犯人らしくなく訳すかがポイントでした。最後まで読んで犯人なのはわかっていたのに、そういう気の回し方がまったく出来ませんでした。自分の思い込みだけで、訳の方向性も決めてしまいました。良い読者であろうとするだけでは足りないのかも。少なくとも、受け身の読者ではだめ。作者の目線はどうしても必要です。冒頭部分には伏線が張ってあったりすることもあり、作品のエキスがつまっているので、とにかく大事に訳すこと。

2 なじみのない言葉は説明するか、変える

またやってしまいました。「トーチソング歌手」という言葉。聞き慣れない言葉だとは思ったのですが、自分が知らないだけでみんな知っているのかと・・・。私以外の生徒さんは皆、うまく工夫されていました。がっくり。読み手にわかるように訳さなければ、描写としての意味がありません。手を抜かないこと。

3 表現の強弱

 英語の表現の強さに引き摺られないこと。今回の課題のなかでも、幾つか、その場面には強すぎる感じがする表現がありました。(tore off,  march, barkなど)  引っ張られずに訳すことが出来たものもありましたが、肝心なのはなぜその強さで訳すのかということです。自分のなかにその根拠をしっかり持っていないと、一定のトーンで訳文をつくることができません。
 表現の強弱の問題もやはり、作者がキャラクターをどうみせたいのかということに関係してきます。問題となったのは、登場人物Aが登場人物Bに向かってbarkした、という場面。直訳だと怒鳴りつけるですが、大事なのはこの二人の関係でした。私はここだけを見て、サボっている部下を怒鳴りつける上司という単純な構図を描いてしまいました。最後まで読んで、そんな単純な関係ではなく、二人の間にはなにか通じ合うものがあったということはわかっていたはずなのに・・・(後でそういう場面がいくつも出てきます)。そうであれば、barkはそれほどきつい訳になるはずがなく、その後に来る科白も当然もっと柔らかいものになります。近視にならず、もっと俯瞰して見ること。

4 詰めが甘い

 (夜の)一時をすぎ、ホテルの部屋は3分の2が"residential"だった、という文章。residentialが「居住者用」という意味なのか、「人が泊まっている(埋まっている)」という意味なのか、悩みましたが、この周辺の文章が、一貫して「ひとけがないこと、静かなこと」を描いていたので、居住していれば夜中の出入りも少なく静かだろうと考え、前者を選びました。そこまではOKでしたが、その先の詰めが甘い。きちんと砕いて「長期滞在者用」とすべきでした。後で短期滞在者用という言葉が出てくるのもみつけていたのに。なぜ手を抜くのか・・・。  

5 違和感を感じたとき、いつでもどこでも、わすれないうちにメモをとる

 クラスメイトに最後に指摘された箇所。ホテルのフロント係が警備員に、廊下で騒いでいる客を何とかして来いと言うシーン。原文は”get him out of the corrider!”となっており、直訳すると「つまみ出せ」になるのですが、ホテルに泊まっている客を「つまみ出す」というのはどうか?というご指摘でした。最初に思ったのが、「しまった、忘れてた」でした。机に向かっていないときに、「そういえば、ホテルから追い出すつもりまではないのに、つまみ出せって言うのは変だよね、直しておかなくちゃ」と思っていた箇所でした。訳文に向かっていないときにも違和感がやってくるときがあります。後回しにしないでその場でメモをとっておく習慣をつけなければ。気がついたときに直すというのはどんな仕事でも基本ですよね。職場でも同じような失敗をよくしています。

6 固有名詞の発音

 下訳をする際、三省堂の「固有名詞英語発音辞典」を使うよう、先輩下訳者さんに指示されていたので、授業でも使っているのですが、情けないことに発音記号の読み方に自信がなくて、ついついネットでも確認してしまいます。ネットで出てこなくても、辞典の方を優先すること。

7 黒髪

  細かいところですが"long black-hared man"という文章。 「黒髪を長く伸ばし」と訳したのですが、なんとなく女の人っぽい気がして違和感を感じていました。いろいろこねくり回したあげく、解決できずに放置。先生は黒い髪とされていました。ああ、それでいいんですよね。何を悩んでいたんだろう。

8 一文にする手

同じ言葉を繰り返さないというのも、下訳でさんざん反省したので、今回気をつけたつもりだったのですが、どうして上手く処理できない箇所がありました。"The noise hit him like a sudden wind. The walls echoed with it" 一文目の主語が音、二文目の主語は壁になっていますが、スピード感も大事なシーンなので、「音」で統一したいところ。主語をダブらせたくはないけれど、二文目を主語なしにして訳すとどうも違和感が。先生の訳をみてスッキリ。一文にするという手は、分かっていたつもりだったんだけどなー。思いつきませんでした。 

9 キャラにあった修飾語を

 "he said rapidly" 客の不満顔があちこちから覗いている中、ホテルの警備員がなだめるというシーンだったので、つい「急きたてられるように言った」としてしまいましたが、このキャラはそんな周りに左右されるような軟弱なタイプではありませんでした。どちらかというとマイペースで飄々としている感じ。工夫しようというところまではいいのですが、キャラに沿わない訳をあてるくらいならあっさり流す方がましです。先生は「てきぱきと」とされていました。納得。

10 半ダースの部屋

 "half dozen doors were open" 直訳は「半ダースの扉が開き」ですが、日本人に、ダースの感覚はないし(12や6に特別な思い入れはないんじゃないかと)、どうしても違和感を感じるので「部屋の扉があちらこちらで開き」としました。これはOKでした。

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入隊!

今頃ですが、ビーリーズブートキャンプに入隊。中高時代、私と同じ文芸部だった友達が、腹筋が割れたと話していたのを聞いて、ついDVDを買ってしまいました。英語の勉強もかねて、字幕なしのものに挑戦。(というより、実は安かったからなんですが。3分の1くらいの値段で買えます)昨日はちょっと見学して、今日から入隊。しかし、自分の致命的な欠点をすっかり忘れていました。リズム感ゼロなんです。あの、ハイテンションで、リズミカルな動きにまるでついていけません。手足はばらばらで、とてもひと様にはみせられない姿。なんとか見よう見まねでやってみましたが、10分たらずで、全身から汗が・・・。あんまりやると、お当番の訳文の仕上げに差し障りそうなので、20分くらいでやめておきました。なんだか明日、筋肉痛になりそう。でも、朝から汗を流すのもいいものかも。脳に血が回っている感じがします。さあ、頑張って訳文の仕上げをするぞー。

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ハリーポッター、重い・・・

ハリーポッター、最終巻が佳境に入ってきました。残すところ3分の1くらい。へたな辞書より重いので、持ち歩かずに、就寝前だけ読んでいたのですが、先が気になってついつい仕事にも持って行ってしまいました。やっぱり重かった・・・。

けなげで気に入っていた、あのキャラが死んでしまいました。ああーショック。これから他にも死にそうな予感。

毎年楽しみにしていたハリーポッターも、これで終わってしまうのかと思うとページをめくる手もついつい鈍りがち。

でも、ためしに、お道具箱でもご紹介した、スリムタイマーで計ってみたら、読むスピード自体は上がっているような感じでした。去年の記録(昨年前巻を読んだ時のスピードが、手帖に記録されていました)と比べて、5割増しくらいにはなっているようです(それでも遅いんですけどねー)。少しは進歩してるのかなあ?

ハリーポッターは初めて読み通した洋書だっただけ(我ながらおそい洋書デビュー・・・)に思い入れもひとしお。ページが残り少なくなっていくのが、つらいです。来年から何を楽しみにすればいいのか。ローリングさん、来年もまたなにか書いてくれないかなー。

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お風呂読書

9月からは仕事も始まり、すっかり通常モード。どうも、私の場合、仕事をしている方がペースがとりやすいみたいです。この一週間は、朝出勤前は、1時間程度下訳の復習、往復の通勤時間は読書、昼休みは単語調べ、入浴時には読書、夜寝る前と空いた時間にはハリーポッターを読んでいました。なんでも、習慣化すると、逆にやらないほうが気持ち悪くなりますね。以前はお風呂で読書の習慣はなかったのですが、今はお風呂に入ると反射的に本を読みたくなります。今のお風呂読書はレイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」(村上春樹訳)。さすがに上手いですねー(私ごときが上手いとか言うのは逆に失礼ですが)。都会的でハイセンスな雰囲気が満喫できます。大御所訳のものも(チャンドラーの別の作品ですが)読んでみたのですが、やはり時代を感じてしまいました。金持ちのぼんぼんの一人称が「あたし」っていうのは、ちょっと・・・・・・。ハードボイルドに、突然落語の若旦那が乱入したみたいな感じで、ずっこけてしまいました。きっと当時は違和感がなかったのでしょう。翻訳って鮮度も大事だなあと痛感。村上春樹訳で見事に現代に蘇ったというところでしょうか。ちょっと硬さを残した訳がクールでまたかっこいいんですが、私がまねしたら、ただこなれてないだけに見えるんだろーなー。あー、お当番、どうしよ。(次回からレイモンドチャンドラーが課題です。)

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「博士の愛した数式」 小川洋子著

寺尾聡主演で映画化もされた、いわずと知れた名作。文庫化を待っていたら、読むのがちょっと遅れてしまいました。

家政婦の「私」が新しく派遣された先は、記憶障害を持つ数学者「博士」の家だった。博士の記憶は80分しか持たない。時間が経過すると、一からやり直し、初対面の挨拶から繰り返されることになる。博士は、失われた記憶能力を補うため、無数のメモをシャツにとめている。そんな博士をいたわり気遣う「私」と「、私」の息子「ルート」。そのいたわりは決して憐憫ではない。博士に対する強い尊敬と愛から、自然と生まれている。博士は、人知を超えた美しい数の世界に生きている。神のわざともいえる、その整然とした法則の前で、博士は謙虚に頭を垂れる。その姿はとても美しい。蓑虫の蓑のような、無数のメモの下には、輝ける崇高な魂が隠されている。

三人が紡ぎだす、美しく、悲しく、幸せな空間。悲しみと幸せがこんなにも美しく同居できるとは知りませんでした。この小説の世界にずっと浸っていたい、そう思わせてくれる作品です。小川洋子さんは薫り高い世界を書くことのできる、数少ない現代作家だと思います。作品の気高さは、明治の文豪にもひけをとりません。もし、私に日英翻訳が出来たら、こんな小説を、世界中の人たちに知らせたいなー。

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