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憑神 浅田次郎著

ふと思えば、そもそもこのブログのタイトルは「本の海 航海記」でした。なのに、9月辺りから翻訳の話ばかりで一冊も本の紹介をしていません。いろいろと読んではいたのですが・・・・・・。このままでは「ほんやくの海 後悔記」になってしまう!(あ、結構いいかも。サブタイトルにしよっかな)

というわけで、この辺りで一冊。ロンググッドバイから数えて4冊目のお風呂読書本、浅田次郎さんの「憑神」です。今年読んだ和書のなかではベストといっていいほど面白い本でした。おかげでお風呂が長くなり、毎日ゆでだこ状態でした。

 主人公の別所彦四郎は、裕福な婿入り先からいびり出されて出戻った、貧しい武家の次男坊。ろくな稼ぎもなく、気の強い兄嫁に遠慮しながら、肩身の狭い暮らしをしている。そもそもいびり出されたのも、家柄が悪いからというだけで、自分にはなんの落ち度もない、文武両道で、誰からも出世頭と目されていた自分がどうしてこんな目に・・・。あまりの運の悪さに、霊験あらたかと噂の高い「三囲(みめぐり)稲荷」に出世の願をかけるが、これがとんだ「みめぐり」違い。彦四郎が手を合わせたのは、出世どころか、貧乏神、疫病神、死神の三邪神が、順繰りに、拝んだ者にとり憑くという、「三巡(みめぐり)稲荷」だった・・・・・・。

とにかくテンポがいい。会話がいい。まるでうまい落語を聴いているような気分になってきます。時代小説で、見慣れない言葉も多いはずなのですが、読みづらさを微塵も感じさせません。これなら、時代小説が初めてという方でもとっつきやすいと思います。それでいて、ふんわり軽いおかしのような「しゃばけ」シリーズ(好きですが)と違い、中身もぎゅっとつまって滋養もたっぷり、もちろんお味も最高です。

今風の言葉で言うなら、登場人物たちの「キャラがたって」います。一癖もふた癖もあるキャラクター達が次々登場。しゃれた着物を着こなした大店のあるじ風の貧乏神、雲をつくような巨漢の力士の姿をした疫病神、愛くるしい少女姿の死神。出てくるキャラクターは皆どこかあったかみがあり、この三邪神ですら、彦四郎の人柄にほだされて、つい矛先を緩めてしまうような人(神?)の良さを持ちあわせています。

中身の濃さも魅力。ラストサムライよりずっとラストサムライでした。何億も制作費かけて、トム・クルーズまで使って映画を撮らなくても、浅田さんがひとりで書いちゃってるじゃないの。最後のサムライの矜持を。おそるべし浅田ワールド。鋭くて苦い真実も、こんなふうに舌触りがよくて美味しい皮に包まれたら、いくつでもいけてしまいます。やっぱり、苦いものを苦いまま出すんじゃ能がないし、粋じゃない。その点、腕の確かなすばらしい作家さんだと思いました。(そういえば「復讐はお好き」のカール・ハイアセンもそうですね。)「ぽっぽや」のイメージが強く、今までなんとなく手が伸びなかったのですが(いかにも泣かせますぜ!って感じのものはつい敬遠しちゃいます。結局泣かされるんですけどね)、もっと早く読んでおけばよかった。でもこれからの楽しみが増えました。次は「椿山課長の7日間」を読んでみよ。

ちなみに、9月から読んだ本は 「ロンググッドバイ」(村上春樹)、 「狂骨の夢」(京極夏彦) 「海辺のカフカ(上)(下)」(村上春樹)、 「照柿(上)」(高村薫)、「メソポタミアの殺人」(アガサクリスティー) 「ちんぷんかん」(畠中恵)、そしてこの「憑神」です。 あとは今読みかけの本が3冊くらい。年末年始の移動中に片付けちゃおうと思ってます。 

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やっとお休み

今日からようやく冬休みです。いやー、それにしても昨日はハードな一日でした。次から次へと絶え間なく仕事が降ってきて、まるで嵐の中でもまれているよう。顔をあげている暇もなかった。食べようと思って机の上にキープしておいたおやつにも結局手がつけられませんでした。

でも、「九兵衛」はおいしかったです、さすがに。イクラも醤油漬けではなく生のものを使っているようで、一粒一粒がしっかりしていて宝石みたいに綺麗。ほんの少しゆずを利かせた上品な味つけ。まぐろも舌の上でとろけるよう。味も濃厚でした。ひときわ美味しかったのがホッキ貝。軽く炭火であぶってあって、噛むと口の中にじゅわっと香ばしい甘味が広がって・・・。

と、なんだかグルメレポートのようになってしまいましたが、今日から、待ちに待ったお休み、しっかり翻訳の勉強の方もやらなければ!というわけで、今日は一日、授業の復習をしたり、洋書を読んだりしていました。授業があるたびにこのブログで大まかな復習はしていますが、さらに詳細なチェックをしています。プロの訳しかたを肌で覚えるために、写経の要領で毎回先生の訳文をそのままテキストで打ち込んでいます。そのデータと、スキャナで読み込んだ原文のデータをエクセルで並べ、対訳形式にして、その横に注意点(自分のやらかした間違いなど)など、気がついたことをキーワードのようにどんどん書いています。定番の訳し方をすることが多い産業翻訳なら、こういう対訳集もかなり有効な武器になるのでしょうが、文芸翻訳では、そのままその表現が使えるということはまずありません。ただ、場面が分かるようなキーワードをつけておけば、困った時に、プロがどういう処理をしているのか参考にさせてもらうことができます。将来かなり心強い味方になってくれるのではないかと考えて、少しずつ作っています。地味な作業ですが、なにより、この作業をしていること自体が一番勉強になっている(キーワードを考えることで先日書いた「意識化・言語化」をする事ができます。)と感じるので、続けていけそうな気がします。

で、今日一日詳細な復習をしてみて、あらためて気がついたのですが、下訳をやってからの自分の訳は、なんだか肩に力が入りすぎている感じがします。先生の華麗な技をいろいろ目にしたものだから、自分でもやってみようと、跳んだりはねたり、さんざん足掻いてはみるものの、使い慣れていない技は上手くきまるはずもなく、結局醜態をさらすはめに・・・。むしろ、何も知らなかったころのほうが、素直に訳していた分ましだったりして・・・。ちょっとした道化だよなーと、復習していてムナシイ気分にもなってきましたが、これって、きっと誰もが通る道なのですよね。こうやって恥を覚悟でぶつかって、玉砕して、傷だらけになって、身体で覚えていくんですよね。一人前になるための通過点なんですよね。(誰かそうだと言ってくれー)

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もおおおおー。

何でも年内に片をつけたがるのは日本人の悪い癖だと思う。みんな口を揃えて「年内、年内」って言うけど、あと何日あるとおもってるのよー。無理だってばー。九兵衛くらいじゃ割に合わないぞー。

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冬休み中にやること 今後の課題

今年の仕事も残すところあと3日、28日からお正月休みに入ります(でも、明日、あさっては、はたして何時に帰れることやら?)。今年の職場の忘年会はなんと、銀座の名店「九兵衛」。自腹では絶対に行かない(というか行けない)場所ですし、みんな楽しみにしていますが、弁護士さん達と飲んでも酔えないからなあ。わたしとしては、たとえ自腹でも、翻訳クラスの飲み会のほうが話題も合うし、気楽でいいわー。

それはさておき、この冬休み、6日間くらいは完全なフリーデーがあるので(しかも、お正月明けには三連休もある!)、何をするのか、今から計画をたてておこうと思います。

先日、今の問題点を幾つか挙げてみましたが、それを踏まえて考えてみたところ、今、自分に一番必要なのは、「意識化、言語化」だという結論に達しました。「調べものを怠ってしまう、手を抜いてしまう」という問題点も、べつに好きで手を抜いているわけではなく、そこまで調べるべきだという意識が足りないから、無意識とは言わないまでも、半意識くらいのところに留まってしまっているからなのだと思います。「感じているはずの違和感を捉えられない」のも同様です。スピードだって、意識化が完全にできていれば、無駄に迷う時間もなくなり、ぐんとアップするはずです。

10年、20年かけてじっくり経験を積めば、こうした問題点も自然に改善されていくのでしょうが、なるべく短縮化したいのが人情。そのためにはやはり、自分の問題点の「意識化、言語化」が不可欠です。

それでは、半意識に埋もれたものたちを、意識の表層まで引きずり出すにはどうすればいいのか。大げさなことを書いてきたわりに、結論は平凡なのですが、やはり「復習」することだと思います。下訳や授業の復習を通して、自分の訳とプロの訳の隔たりを認識する。自分の訳の問題点を明確化する。問題点を改善し、プロの訳に近づくためにはどうすればいいか考える。

いろいろと考えてみましたが、結局、到達したのは、今、毎日のようにやっていること、これが大事なのだという結論。やはり、学問に王道なしってことですね。地道に淡々とやっていくしかない。でも、たまに、こうやってあれこれ考えてみて、今やっていることの重要性を再認識してみるのも悪くはないと思います。「地道に淡々」はどうしてもダレますから。

というわけで、この冬休みは、いつにもまして、下訳、授業の復習に力を入れたいと思います。今作っている「私の弱点」集をさらに充実させ(一度紙に打ち出してみよう、そのほうが見やすいし)、新たにはじめた対訳集(エクセル。 問題点、場面キーワードつき)作りも、授業の分くらいは完成させたいと思います。それから予習も。課題本は、シノシプスを書くくらいのつもりで、できれば休み中に読み通す。次回こそは反省を十分に生かした訳文を作ろう。それから、ブレインマップもどきは、問題点をひと目で見渡せ、訳文作成過程で重宝するけど、最終チェックには不便なところもあるので、もう少し厳選し、簡略化したチェック項目表も作ってみることにしよう。買いためている和書も読まなきゃなー。

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クリスマス会

今年も、友人たちを自宅に呼んでクリスマス会(忘年会?)を開きました。去年は急な仕事が入ってこれなかった友人も、むすめさんを連れて来てくれたので、大人5人、こどもひとりの、とってもにぎやかな会になりました。○十年来の(はじめてあったときはお互いまだ12さいだったなんてしんじられない)気心知れた友人たち、集合した瞬間から話に花が咲き、解散するまでの6時間あまり、話が途絶えることはありませんでした。大人たちのあまりの盛り上がりに、ゆみちゃんも(友人のむすめさん)おもわず「うるさーい」と叫んでしまうほど。女5人集まると、疲れ知らずの3才児さえ圧倒してしまうのね。

また、このゆみちゃんが可愛かった・・・。友人がゆみちゃんの左手、私が右手を握って3人で歩いていたら、くりっと下からこちらを見あげて、「お姉ちゃんの手、あったかいね」だって。くぅぅー、か、かわいい・・・・・・。久しぶりに胸がきゅーんと鳴る音を聞きました。しかも、「お姉ちゃん」・・・・・・。なんって、素直でいい子なのかしら!親の教育がいいのねー。(それとも、ものすごく世渡り上手なのか?)

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おおおー

本屋に立ち寄ったらいつの間にか「このミス」がでていました。先生の訳書が堂々の第2位に!おおー、さすがは我らがお師匠様!(というか、チェック遅すぎですね)

やっぱりなー。あの本は理屈抜きでおもしろかったもの。作者はコメディぽいものをよく書く作家なのですが、元新聞記者ということもあるのか、作品にはいつも鋭い社会風刺が込められています。そういうメッセージ性の強いテーマを入れると、どうしても「いい子ちゃん」臭が出て、エンターテイメント性が損なわれてしまうものですが、この作者の作品にはそれがありません。あくまで軽快、あくまでおしゃれ。ちょっと、日本にはいないタイプの作家です。あの、石田衣良さんも惚れこんでいるとか。もちろん、その作風を再現する料理人(訳者)の腕が問われることは言うまでもありません。翻訳家志望の皆様、勉強になるので是非、原書とセットで買ってみてくださいね。(でも正体がばれるのでタイトルは書かない。読みたくなった方は自力で調べて買って下さいねー。翻訳に興味がなくても、手放しで面白いことは保証します)

この本は授業の課題にもなったのですが、訳していてとても楽しい本でした。クラスのみんなで、あーでもないこーでもないと頭を悩ませた本が「このミス」ベスト入りというのは、また感慨深いものですね。自分の手柄でもないのに、周りの人たちに自慢してまわっています。
ベスト10入りは逃したものの、下訳をした本もバッチリのっていました。選定方法をよく知らないんですが、ひょっとして出版時期が早かったらもっといけたのでは。

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前回の反省

今回で、小中学生向けのアガサクリスティは終わりです。大人向けに書かれた原書を、こども向けに訳すというのは、そうあることではないようです。先生にとっても初めてのケースだったとか。翻訳家はいろんな要求に応えなければいけないようです。翻訳とはこうあるべきというしっかりとした信念が、自分のなかに存在しなければ、こういうイレギュラーなケースにはとても対応していけないですよね。常々思ってたけど、やっぱり、軸がしっかりしていないと翻訳家にはなれない気がします。目の前にたち現れるのは、いつも新しい敵(原文)ばかり、定石の攻撃方法なんてものはありません。人の闘い方は参考にはなっても、結局は、自分で闘うしかありません。優柔不断でひとに頼りがちなわたしは、精神面から鍛えなおした方がいいかも。

今回は、こども向けなので注意点もいつもとだいぶ違います。次回でひきずらないようにしよう。
1 省略する もってまわった表現
 いいたいことがわかりづらい原文は、きちんと訳者のほうで咀嚼して、わかりやすく組みなおす。その際、その箇所でしか出てこないような、瑣末な事情は省略し、必要であれば情報を整理するような説明を加える(「一時的なものでつなぎ役でしかない」)。
 大人向けでもそういう場面はありますが、子ども向けの場合、とくに気をつけて処理しないといけません。
 自分ではやったつもりでしたが、まだまだ原文にひきずられ、わかりづらくなっていました。

2 省略する 不要な詳細情報
  ディテールを描くのに必要な描写は残した方がいいが、それ以外のものはカットしたりして、情報量を減らすこと。
 (耳慣れない具体的な地名や病院名など。あまりごちゃごちゃ書くと読む気が失せる)
 漢字もなるべくひらいて、句読点、改行も増やし、見た目が軽くなるようにする。 
 (こういう配慮って、もしかしたら、こどもじゃなくても、ケータイ小説になじんだ若い世代にも必要?)

3 省略する 非道徳的なこと
  子ども向けなので、やはり、麻薬やアル中についての記述はカットしたほうがよいとのこと。

4 省略する 差別的表現
 古い小説の改訳の場合、書かれた時代を反映して、人種差別、女性蔑視的表現があったりするので注意。省略するか、薄めるか、表現を変えること(「現地人しかいないから」さみしい→「話し相手がいないから」さみしい)。

5 矛盾をなくす 辻褄あわせ
 こどもは特に矛盾に敏感、齟齬をきたさないように、とにかく注意すること。(前のほうでは帰国するのが子供たちだけとしていたのに、後ろの方で家族全員帰国するような書き方に変わっていたり、現地に着いて交代の人が来たらひまをもらうことになっているのに、現地に着くまで仕事をする、というような訳をしては、矛盾してしまう。)

6 会話もなるべくわかりやすいように
 答えが質問と微妙にずれる会話というのも、大人向けの小説ではありだが、こども向けの場合はだめ。「キレ」よりも「わかりやすさ」をとる。

7 違和感があるところは必ず!処理する
 そのまま訳すと「悲しげな声で冗談ばかりを言う」という描写があったのですが、かなーり違和感があります。最後までどういうことか考えたけれど結局分からず、どうしようもなくて放置してしまいました。「悲しげな声」をカットするか、「真面目な顔で冗談を言う」くらい、違和感のない状態までもっていく。いま思えば下訳のときも、どうしようもなくなると、「あと、先生、お任せします!」とばかり、放置しまくってたような。あらためて反省……。責任を負わないで済ませようという逃げ腰の態度は、翻訳家には許されません。ひと任せにしないで自分で何とかすること。

8 分かるように情報を足す
  「~(地名)から一日半かかる、~(地名)という街」という表現。これも、大人なら「車で」ってことだろうな、と読みながら補ってくれますが、こどもではそうはいきません。原文に無くても「車で」を加えて分かるようにすること。

9 その訳語でいいのか?常に意識。
 前も反省したばかりなのに……。はあ。desk=机、的な発想はしない。今回はnurse。自動的に看護婦としてしまわない。この文の流れから見るとベビーシッター的なお仕事のようです。昔のイギリスでは看護婦さんがそういうことをしたのねー、と勝手に納得して、深く考えませんでした。もっともっと言葉に敏感になること。疑う姿勢を忘れない。やさしい単語ほどやってしまう率が高いようです。  

10 オブラートをかける
 断言してしまうと微妙にずれる感じがする場合、「のようなもの」をつけてオブラートをかけるだけでも違和感はだいぶ軽減するとのお話しでした。自分でも違和感を感じ、オブラートをかけたつもりでしたが、へんなところにかけてしまってまるで効果が出ていませんでした。

11 用語に敏感になる
 「発掘調査隊」のような、普段耳にしない専門的な用語を使うときは注意。いろんな訳があるが、どのいいかたが一般的なのか必ずチェック。既訳をそのまま使ってしまいましたが、今でもその言い方をするのか、手間を惜しまず確認すること。「発掘調査団」、「発掘チーム」くらいの方が、一般的なようでした。

12 因果関係に注意する 接続詞の訳し方
  接続詞andを「ので」と訳すと「家が辺鄙なところにあったので、奥さんの健康状態を心配していた」となる文章。因果関係が変です。家がさびしいところにあるとなぜ健康状態が心配なのか?わたしも違和感を感じました。そこまではよかったのですが、接続詞にではなく、後半部分の「健康状態」に手を加えて、「気の病にならないか心配」としてしまいました。そこまで手を加えてしまわなくても、単に、「へんぴなところで」とすれば自然に流れたのですね。

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そうじの神、降臨。

来週の土曜日、中高時代の友人を自宅に呼んで、女ばかりのクリスマス会としゃれこむ予定(←そういえば、いま、あんまり見ないですね、こういう表現・・・)なので、今日は一日、ひたすらお掃除。たぶん来週1週間は、仕事が忙しくて掃除どころじゃなさそうなので。

そんなに、そうじ好きなほうでもないんですが、やり始めたら、とまらなくなってしまいました。そうじの神、降臨か?床はもちろん、なかなか手がでなかった換気扇や窓、はては友人が入る予定もないお風呂まで、とりつかれたようにゴシゴシゴシゴシ。あーつかれた。でもお部屋はピカピカ、クリスマスツリーもなんとか飾れました。

翻訳の神も降りてきますように。

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今年最後の授業 今の問題点

昨日で今年の授業も終わりました。最後なのでもちろん飲み会にも出席。楽しくてついつい飲みすぎ、階段でこけ、今日はむこうずねにバンドエードを何枚も貼って出勤しました。みなさんからお勧めの作家とか翻訳家とか、いろいろ有益情報を聞いたはずなのですが、案の定半分くらい忘れています・・・・・・。先生が昔、対訳をして勉強したという、翻訳家の名前と訳書のことはなんとか記憶していました。よかった。(といっても下の名前は思い出せないんですが。訳書は覚えてるからなんとかなるか・・・)最近飲み会のたびに、失態をさらしているような。折角楽しかったのに、肝心の内容を忘れちゃうのはもったいないし、女の酔っ払いはみっともないから、ちょっとは控えないと。でも、目の前に液体が置かれていると飲んじゃうんだよなー。

それはともかく、次の授業までは一カ月以上あくので、ここで軽く今の自分の問題点などを振り返り、今後の課題を考えてみたいと思います。
まずは、問題点

・ねばりが足りない。大雑把。できる調べものを怠る。違和感を感じているのに対策しない。

才能やセンスはすぐにはどうにもならないかもしれないけど、このあたりは、自分の心がけ次第で今日からでも何とかできることばかりです。せめて、できることくらいはきっちりやること。

・違和感を感じているのに、それを捉えられないことがある

上手く処理している時でも、無意識のうちに感じとってなんとなく処理してしまっているのがよくないのかも。つねに意識の上にのぼらせるように。なんで自分がそう処理することにしたのか、理由を意識する。

・疑問を抱けない。

根が素直すぎるのか、与えられた原文を何の疑いも持たずそのまま訳して失敗することが多い。つねに疑いの眼差しで原文を読む。日本語の小説を読むときにもそういう態度で臨む。

・近視的

いつも反省していますが、目の前だけを見つめて訳していると、いろんな失敗を招きます。全体を俯瞰して見ることができるようにならなければ。

・作者を無視してしまう

翻訳者にあるまじき行為。。昔自分で書いたりしていたせいか、「こっちの表現の方がいいよね」的な越権行為をときどきやってしまいます。原文の矛盾点を修正することは必要だけれど、それとはちょっと違うところでやってしまうのが問題です。やっていいことと悪いことの区別をいいかげんつけられるようにならないとなあ。

・時間をかけすぎ。

効率化を考えていかなければ・・・。ハード面ではとりあえず、串刺し検索をできるようにすること。動きの遅いパソコンをなんとかすること。ソフト面では作業の手順を効率化して、最初の粗訳の段階から、ある程度完成度の高いものが出来るようにすること。推敲の方になるべく時間を回せるようにする。読むスピード自体をあげることも必要だろうな。

まだまだ、数えあげればきりがないけど、もう夜も遅いので、とりあえずはこのくらいで。こうした問題点に具体的にどう向き合っていくかについては、この休み期間の間にじっくり考えていきたいと思います。

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ブレインマップもどき?

Photo 授業で学んだ翻訳のココロエを、図にして訳文を作るときに見ています。本屋さんで立ち読みした、ブレインマップの手法を参考に作ってみました(たぶん似て非なるものになっていると思いますが)。手近にあった使用済みの裏紙に、適当に書き付けたものなので、初めはこんなに長く使うとは思っていませんでしたが、何か気がつくごとに書き加えていける手軽さと(今はこの画像のときより、もっとごちゃごちゃしています)、ひと目で問題点が見渡せる勝手のよさで、もう二年近く愛用しています。そろそろスペースもなくなり、大きな紙に書き換えなければいけないので、今度はもっと体系立てて書いてみようと思っています。

このほかにも、自分の問題点を、テキストでいろいろ打ち込んだファイルを「私の弱点」というファイルにまとめ、パソコン上においてあり、そっちの方がずっと詳細に書いてあるのですが、このブレインマップもどきの出番はなくなりません。なんとなくですが、汚くて読みづらい字でも、自分の字というのは、脳に特別な刺激を与えるものなんじゃないかという気がしています。なぜだかぱっと目に飛び込んでくるし、内容も強く印象に残ります。電子書籍も読む、PDAも愛用するデジ物好きですが、どうしてもアナログのほうがいいものもたくさんあります。(たとえば、時計。デジタルだとどうも時間の感覚がつかめなくって。)どんなにツールがデジタル化していっても、人が生き物であるかぎり、そういうものは生き残っていくんでしょうね。

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ちょっとひと息―岡の榮泉の豆大福

Dsc00168 きのう、友人の出産祝いを買いに上野に行ったので、ついでに「岡の榮泉」に寄りました。ここの豆大福は絶品です。甘さ控えめのあんこと、塩みのあるお豆が絶妙にマッチ。おもち自体もいいお味で、しっかりとした存在感があり、もちもちした食感がこたえられません。行くたびに売り切れていて、いつも悔しい思いをしていたので、ラッキーでした。賞味期限「本日中」なのに、5つも買ってきてしまった・・・・・・。

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前回の反省

今回から、新しい課題。アガサクリスティーを小中学生向けに訳すというものです。
最近暴走気味だったので、硬めの訳を心がけるようにしていましたが、今回は趣旨が趣旨なので、やっぱり砕いた方がいいとのこと、ただ、どこまでやっちゃっていいのかがわかりませんでした。今回のような課題の場合は、わかりやすくなるよう思う存分細工してしまってよいようです。次回から、みんな大暴れするんだろうなー。楽しみ。
お当番だったので、自分なりに思いっきりやっていきました。誉めていただけた箇所もありましたが、復習してみると、案の定、まだまだのところがぼろぼろと……(やっぱり、調子に乗ってました。チェックしてみたら、みんな上手いし。週末までのはかない幸せだったなあ……)。

1 いきなり入らない
 主人公の語りから、過去の回想(会話)に入っていく部分が、落語の導入部分みたいに唐突な感じになってしまった。落語なら、枕話からいきなり「熊さん、はっつぁん」の会話になっても、熟練された技術(声色とか)でそれとわかるけど、声色の使えない小説では通用しません。最初くらいはきちんと誰が話しているのかわかるようにすること。

2 ダッシュの意味
  単に強調していたり、タメを置いているだけ。強めに訳すことでダッシュははずせる。

3 呼び方
  「ミセス~」は「~夫人」にしないでそのままにしたほうが、今の時代、自然ではないかとのお話。確かに、「~夫人」って言うと、今は何故か妙なニュアンスがついてしまうかんじがします(色物っぽいというか・・・)「Dr.~」もそのまま「ドクター・~」でOK。「先生」とすると職業がよくわからない。
  
4 ですます体?である体?
 読みやすくするということで、ですます体を使って訳された方もいたのですが、それでやさしい語り口になるかというと別問題、とのお話がありました。いくら語り口調にしても、難しい言葉で語らせれば難しくなってしまいます。

5 きちんとリンクさせて
きちんと前文を受けた訳にすること。当たり前のことを忘れない。「娘が嫌がるから~できない」と言う相手の台詞を聞いて、主人公が
「娘に頭が上がらないなんてまったくみっともない」と思うシーン。主人公の反応はかなり強め。それを引き起こした前文の台詞が「娘が嫌がるから」くらいでは弱い。きちんとリンクさせて、見合うような強めの訳(「大目玉を食らう」くらい)をすること。

6 語順
  また基本を忘れてる。「わたしのこと、きみのこと、わたしの娘のこと」という順番より、「きみのこと、わたしのこと、わたしの娘のこと」という流れの方が、途切れず自然に流れる。ちらっと頭をかすめてはいたんだけどなあ。違和感を感じたらその場でつかまえる。

7 まだまだ硬い 
  ニュアンスがぬけない程度に砕いて訳すようにという、先生からの注文がありましたが、それが難しいんですよねー。先生はあれだけ大胆にやっているのに抜けてないものなー(「ふつうに書けばいい」「いいものができる」等)。自分ではだいぶ砕いたつもりでしたが、まだまだ原文にひっぱられて、硬くなりすぎたり、不自然になってしまっているところが幾つもありました。

8 もう少しつっこんで
  あるキャラクターが、「話を始めるより、終わらせるほうがたいへんだ」ということを言うために、自分がスピーチをするときのことを引き合いに出し、「いつもしまいにはだれかに上着の裾をつかまれて引きずりおろされるはめになる」というようなことを言うのですが、このままだと、わからなくはないけれどちょっと分かりずらい。子供向けなのですから、先生のようにもう少しつっこんで、スピーチを強制的にやめさせられるという意味あいを、はっきり出すべきでした。 
 
10 方向性を決めて説明的に訳す
   事件を記録するように頼まれた主人公の女性が「わたし、Personalなところがあるから心配なんです」とためらうところ。personalはひと言で決めなければいけないような気分になっていたのですが、方向性を具体的に決めて説明的に訳すのも、「あり」だったのですね。というか、この場合そうすべきだったんですね。ぴったりくるひと言がなかなか見つからず(主観的を使いたかったのですが小学生には硬い気がして)、悩んだあげく、「思い込みが強い」としましたが、ちょっとずれた気もします。

11 似たような形容詞は逐一訳さずまとめて
 英語の表現では、畳み掛けるように似たような修飾語などが並ぶことがありますが、逐一訳すとくどい場合があります。そんなときは、まとめてスッキリさせてしまう方がよいようです(とくに今回のような場合)。

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