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前回の反省 詳細に

今回は誤訳が多かった。たぶん、いつもならやってない間違いも。いつもならもっと砕いている台詞部分もそのまま。
準備できてない状態で授業に出るのは肩身が狭い。復習もちょっとつらい。
でも、途中で提出する羽目になったおかげで、自分の作業工程を意識的に見ることが出来ました。
最初の段階では、誤訳しないよう気をつけて原文に沿った直訳に近い訳をつくるべきだと思うのですが、自分では実践出来ていないようです。この段階で誤訳が多いということは、誤訳の修正は遅い段階でやっているということ。(そういえば、ぎりぎりで誤訳に気づくことが多い気が。そして誤訳はなんとか訂正しても、周辺部分の修正に気をまわす時間がなくなってしまう…)そのわりに、すでに原文から離れすぎてしまうほどいじってある箇所もあったりして、作業のやり方にばらつきがあります。行き当たりばったりというかんじ。
まず森を見てから木を見ていくべきだと頭ではわかっていながら、実際にはできていない。とりあえず日本語にしてから森をみていますが、たぶんその前の、原文の段階から森を見ているべきなのでしょう。遠回りのようだけど、そのほうが初めから訳の方向性も決められて効率もいいし、齟齬も出ない。(日本語にした段階で固まっちゃう部分もありますし。)特に、作品の冒頭部分は、作品全体という、より大きな森を視野にいれていないとまずい。

・一段抜かしはだめ。
 思いがけず自宅の前にひとが立っていたので、女性が驚いて「あら」と声をあげるシーン。すぐ後に、怯えている様子はないと続くので、驚いていることをあまり強調すると合わなくなる感じがして、「驚いて」の部分を丸ごとカットしてしまった。「あら」だけで軽い驚きは伝わるんじゃないかと思ったのですが、先週に引き続きまたしても、思考が一段飛び。読者に不親切。 
 ほかにも、「しぶしぶといった口調でゆっくりと言った」のslow, reluctantをまとめて「不承不承言った」としてしまいましたが、同質の形容詞ではないので、まとめていい場合ではない。そうかなとも思っていたのに、それでもやっちゃったのは、やはり思考の一段飛ばし。「不承不承言う」時って普通ゆっくり喋るよね。と勝手に納得してまとめてしまいました。読者への愛を忘れてはだめね。

・人物の描写
 描写する言葉が並列されているので並べ替え可。見えたであろう順に。これはOKでした。でも、すっきりするので使ってしまいましたが、prettyを「美人」としたのは切り捨てすぎだったかも。

・会話の口調 ですます調か、~だ、である調か? 
 今は雇い主と使用人の関係でも、後に二人の関係は親密になっていきます。それをふまえてどういう話し方をさせるか?
最初から砕いておくか、混在させて減らしていくなど、手はいくつかありますが、最初丁寧にしゃべらせておいて後で急激に変化させるのは難しいというお話しでした。私は最初から砕いておきました。ただ、粗野なしゃべり方だと、親しくなる前の上下感がでないかな(目上の、しかも雇い主に対してえらそうになりすぎるかと)とも思ったので、すこしやわらかく若い男の子風に。でも、実はこの主人公、一筋縄ではいかない人物のようなので(やっぱり最後まで読まないとダメですね)、あんまりかわいくしないほうが良さそう。

・情報をプラス、またはマイナスする
 直訳すると「こんな何もないところでは、ひとを信用しないほうがいい」という文章。このままだとよく分かりません。情報をプラスして、「こんな何もない【さびしい】ところ」というふうにするか、逆にマイナスして「こんなところ」というふうにして、因果関係がきちんとなるようにしたほうがいいとのことでした。(私はプラスして処理しましたが、時間不足でちょっと舌足らず。)こういう手の入れ方はOK、というかむしろ必要。やっぱりポイントは読者への愛か?ほかの箇所でも先生の訳にはそうした配慮が見えました(従業員用の部屋)。

・きちんとリンクするように
 "I suppose we could give it a try."しぶしぶといった調子でそう言って、農場主の女は主人公を雇うことにしたのですが、「しぶしぶといった調子でそう言った」とある以上、台詞はしぶしぶ感が出ていないといけません。わたしは、「そうね、ためしに働いてもらおうかしら」として「そうね」の部分と「かしら」の部分に、ためらいとしぶしぶ感をにじませようとした(つもり…)のですが、たぶん伝わってません。やはり、今回の名訳は「試しに置いてあげてもいいわ」ですね。

・日常会話的にありえない
このあたりから時間切れで全くの直訳。いつもならいくらなんでももう一ひねりはしていたと思うが、Pleased to meet youも中学の教科書状態、「お会いできて光栄です」のまま。現代人の日常会話とは思えない。それにしても最初から「よろしくね」が出てこないようじゃちょっとなあ。

・全体の流れに関わる部分
今回まったくさわれなかった最後の5、6行は、大きな流れと関わってくる重要な部分でした。(なにか重要そうなにおいがしたので、ゆっくり考えようとこの5行だけ後回しにしたのですが、結局さわれず…)
まず、"Yes, ma'am."。 主人公が農場主の女性をそう呼ぶのですが、後にふたりが親しくなった時、「その呼び方はやめて」とその女性が言い、主人公がファーストネームで言い直すシーンが出てきます。なので、ここでどう呼ばせるかが問題になってきます。奥さん、奥様、マダム、いろいろ候補が出てきましたが、「ミセス~」が一番いいという話に落ち着きました。確かに自然だし、後の処理も上手くいきそうです。

もう一点も、大きな流れがわかっていないと訳せない箇所でした。英語は中学生でも分かるほど易しいけれど、流れを無視して訳すとなんだか意味不明な訳になってしまいます。
主人公が、"I'm not looking to get rich"「金持ちになりたいわけじゃない」というと、農場主が"What are you looking for?"「何をもとめているの?」と尋ねるシーン。実はこの主人公、ある目的があってこの農場主に近づいてきたのですが、ここは、その伏線のような感じになっています。農場主にそう尋ねられて、主人公の頭のなかには当然この目的が浮かんでいたはずですが、"I guess I'll know it when I find it."「そのうちわかるよ」というような、ちょっと意味深なことを言って、答えをはぐらかします。先生は、looking forの訳に「目当て」という言葉を使われて、より伏線的な色を濃くされていました。
時間切れで直訳で放置したため、もちろんわたしの訳はぼろぼろ。でも、時間がたっぷりあっても、このつながりに気づき、流れに絡めて上手く訳せたかどうかはかなりあやしい……。

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