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「グロテスク 桐野夏生著」読了 あと、ちょっとうれしかったこと

通勤電車で桐野夏生の「グロテスク」(上)(下)を読了、日本語への渇きがちょっとおさまりました。圧倒的なパワー。以前、本屋さんで立ち読みしたときに、引きずり込まれてそのまま30分読み続けてしまった本で、ずっと気になっていたのですが、「OUT」を読んだときに、リアルすぎて気分が悪くなり(夫の死体をバラバラにする描写や、覆いかぶさってくるような閉塞感がたまらなかった)上巻のみでギブアップしてたため、なんとなく手が出なかった。しかし、自分の世界に否応なしに引きずり込む、このパワーはすごい。読み終わった後も、頭の中で大きな渦が巻いているようで、なかなか現実に戻れず、ぼーっとしてしまいました。東電OL事件をモデルにしたと言われている小説ですが、そんなこともどっかに飛んでしまうくらい。子供のころから「頑張れば認められる」という神話にすがりついてひたすら努力してきたエリートOLが、社会に出てどんどん壊れていく様子は、並みのホラーよりもずっと怖いです。でも、怖いだけじゃないんです。タイトルどおり、グロテスクな世界のはずなのに、一本通ったような美も感じるのはなぜなんだろう。薄っぺらな感想を書くと、作品を汚してしまいそうなので、とりあえずはこのくらいで。

久しぶりに読書の楽しみに浸っていましたが、少し前にちょっとうれしいメールをもらいました。だいぶ前に、翻訳のクラスの飲み会でお勧めした本を、クラスメイトのおひとりが最近読まれたらしく、衝撃をうけたとメールをくれたんです。普段、メールのやり取りなどをしているわけではなく、突然、本の感想だけ書かれたメールがきたので、少し驚きましたが、そのぶん、本当に感動してくれたんだなーとおもうと、なんだか、鼻が高いというか(自分で書いたわけじゃないんですが)、うれしかったです。自分の薦めた本が、誰かのこころを動かしたのかと思うと。本好き冥利に尽きますねー。翻訳の醍醐味もそんなとこにあるのかもしれません。

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やっぱりセンスよかった

Dsc00292 昨日は夏休みをとって友達の家にあそびに行ってきました。あらゆる点で、とてもセンスのよいひとなので、さぞかし暮らしぶりもセンスいいのだろうなーと思っていましたが、まさに、想像通りでした。ちょっとした家具も愛情を持って選び抜かれているのが伝わってきます。ガラス作家さんなので、家のあちらこちらにお手製のガラスの器が、これまたセンスよく飾られていて。素敵でしたー。

この写真も、彼女の作品。去年譲っていただいたものを勝手にアップさせていただいてしまいました。(ごめんねー、せっかく綺麗な作品なのに上手に撮れなかったよー。もっとお天気のいい日にとればよかった。こんな感じでアクセサリーや時計を入れるのに使わせていただいてます。一応、持っているアクセサリーの中では一番高いものを入れてるのよ!でも、高級チョコレートも似合いそう)

ひさしぶりに気のおけない友人たち(クリスマスにうちにも来てくれた友人たちです)とおしゃべりできて、心底くつろぎました。でも、楽しい時間はあっという間ですねー。祭りの後はちょっとだけ寂しい気分。集まった友人のうちのふたりは、だいぶおなかが大きくなっていました。、12歳のころからのつきあいなので、本当にお母さんになるなるんだなーと思うと、いまさらながら、なんだか不思議な気分です。わたしはいつまでもガキんちょ(中身だけは)なのに、みんなは大人になっていくのねー。しみじみ……。

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今後の課題②

羽を伸ばそうと思ってたのに、まだ夏休み期間で事務員不足のため、仕事が妙に忙しく、毎日ぐったりです。昨日も、相方(実質的に弁護士さんたちの事務仕事をしているのはふたり)がお休みだったのと、またしても仮差押の供託が入ったため、もう、ばたばた(なんで、いっつも急なの?なんで会社の人は必要以上に急いで供託金を払いたがるのよー。こっちは用意する書類がいっぱいあるのにー。)法務局、裁判所ツアーから事務所にもどってみたら、仕事がてんこ盛りに。あまりの量に、弁護士さんのひとりが、「この山にさらに積み上げていいものかためらうね」と言うくらい。(ためらうなら、やめてくれー)相方がいればやっておいてくれるのですが、あいにく夏休み。はあ。帰れないじゃないか。

事務所の仕事で残業していると、一刻も早く帰りたくてたまらなくなりますが、翻訳は、何時間やっても、やめたいとは思わないのが不思議。むしろもっと時間が欲しいと思うくらい。(へたっぴな訳しかできないと、苦しくて逃げ出したい気分にはなりますが)

ぐちが長くなりました。今後の課題のつづきです。

・体力づくり

 集中力を続かせるためにはやっぱり体力も必要。ちょっと流行おくれですが、ビリー再入隊か?

・文法苦手箇所克服

 ダレてくると文法を無視してしまう傾向が。苦手なところが決まっていて、出てくるたびに文法書でチェックしなおしていたので、スピードアップのためにも、この際、しっかり勉強しなおしておこう。

・際限なく調べない

 調べてどうにかなるものとならないものがある。それを早めに見極められるようになる。ついつい何か言い訳語が無いかと類語辞典などもしつこく調べてしまうけど、早い段階で見切りをつけて自力でなんとかするようにしないと、時間がいくらあっても足りないぞ。

・ライティングの勉強

 前回の下訳のときから、調べがつかないことがあると、ある掲示板でネイティヴに質問しています。やっぱり、わからないことは本場のひとに聞くのが早いですねー(裏とりは必要だと思いますが)。ですが、つたないライティング能力では聞けることも限られていて、あまり活用しきれていないのが現状。もっと深い質問も出来るように、ふだんから勉強しておこうと思います。

・会話

今回はとくに会話に苦しみました。会話は情報量も少なく、文法力などではなかなか太刀打ちが出来ないところがあります。会話をセンスよく訳せるようになりたい。会話の多い(センスのいい)本をたくさん読む。映画を見る。漫画を読むのもいいかもしれません。とりあえず、手始めに、アメリアの定例トライアル、字幕翻訳の回をチェックしていこうかと思います。今日早速昔のアメリアを引っ張り出してやってみましたが、結構学ぶところが多そう。

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今後強化したいもの①

今回の課題。

・普段から、あらゆることに関心を持つ

お師匠様も、好奇心旺盛だなあと常々思っていましたが、やはり、それって翻訳家にとっては、大事な資質だよなあと実感。調べたり、違和感を感じたりするときの取っ掛かりになる。自分にとって守備範囲外の話題でも聞き流してしまわず、関心を持って耳をかたむけるべし。

・英語圏の文化にもっと強くなる

どの地域がどんなイメージがあるのか(寒いとか暑いとか、田舎とか 住民がおおらかだとか)等、大まかでもいいので、掴んでおく。向こうのひとの日常生活についても理解を深めておく。普段、つい、日本の作家の本ばかり読んでしまうのだけれど、そのためにも、翻訳もの読む比率をあげたほうがいいよなー。

・スピードアップ

下訳も2回目だから、少しは訳すスピードも速くなるかと思いきや、逆に遅くなってしまった。この作者が手ごわかったせい、と、去年の怖いもの知らずの状態よりも、ものが見えているせいだと思いたい…けど。途中から、スピードはあきらめて、すき放題時間をかけてしまいました。それにしても、いつまでもこうではまずいよなー。原因はよくわかっています。決断力が無い。いったん訳しても、こっちのほうがいいかも、あっちの表現のほうがいいかもと、積み木を積み上げてはこわし、積み上げてはこわしするように、訳しなおしているような状態じゃ、そりゃあ遅くもなるよなー。対策としては、メンタル面を鍛えることと(早めに腹をくくれるようになる。訳文にひるまず、最初からがっぷり四つに組めるようになる。どうすればいいのかはまだ不明)、学んだことから、判断の基準となるしっかりとした土台をつくること。そのためにも、いままでどおり、先生の訳と自分の役を比べる復習はもちろん続けていくつもりですが、もう少し、やりかたを工夫したほうがいいのかもしれません。あとは、時間があればあるだけ使って訳してしまうので(ついだらだらしちゃう)、今後の授業の課題などは、直前になるまで我慢して訳さないようにするというのもいいかもしれません。(強制的に短時間で訳すことになるように自分を追い込む)

 

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終わったー!

Dsc00291 下訳、終わりましたー。険しい山からようやく下山した気分です。さっぱりしたくて、早速髪を切ってきました。といっても、時間的にはだいぶゆっくりやらせていただいたのですが。すっかり、お勉強モードでやってしまった。最後の数ページなんて、ほとんど、名残惜しさから握り締めていたような気も・・・。どこかで、読んだことがある(パレート?とか言う名前の法則だったかな?)法則によると、「作業は締め切りいっぱいまで膨張する(うろ覚えですが)」のだそうですが、まさにそのとおり、たぶん、締め切りがあと1週間伸びれば、伸びたぶんだけ、ずっと握り締めて、ごしょごしょいじっていそう。

 それにしても手ごわい作家さんでした。去年やった下訳の倍はきつかった。原文を読んでいるぶんにはすごく楽しいのに、訳すとなると、七転八倒の苦しみ。とてもテクニックのある作家さんで、一文一文に意味をこめてくるので気が抜けないんです。(といいつつ、たくさん抜けちゃってましたが)メッセージを受けとれていないんじゃないかと思うと、こわくてこわくて、何度も何度も読み返しました。しかも、受けとっただけではもちろんだめで、それをちゃんとした違和感の無い文章に仕立てなければいけません(これがまた大変。こった文章なので、完全に原文どおりに訳してしまうと、日本人なら絶対違和感を覚えるような強い文章になってしまう)。違和感が無いだけでももちろんだめで、コメディーである以上、楽しめる読み物にしないとどうしようもない(これも、もちろん大変。おしゃれな会話がきつかった。なかなかおしゃれになんないのよー)。とにかく時間がかかった。いやー、ほんと、険しかったです。明らかに、自分の身の丈をはるかに超えてしまっている翻訳だったよなー。でも、こんないい作家の翻訳にかかわれるなんて、この先そう無いかも知れないと思うと、終わってしまって寂しい気も。(ああ、でも、新学期の課題でもう一回おつきあいしないといけないんだった! ああああ、しばらく見たくなーい。 好きだけど)

上の写真は今回お世話になった辞書、参考書類です。全部、箱から出して、写真のように積んで使っていました。コウビルドは大きくて邪魔なので、床置きになってましたが。なぜか棚に入っている(縦の)状態より、この方が使いやすい。今回は、コウビルド英英辞典の出番が多かった。今はCD-ROM版とセットで売っているらしいから、買いなおそうかなー。

あとは電子辞書2台。辞書はパソコンで串刺し検索しようと思って、環境も整えてたんですが、慣れないせいか、つい電子辞書に頼ってしまって。速いしねー。通勤時にも持っていけますし。それから、なんといってもかかせないのはやっぱり、インターネット。調べものはもちろん、ちょっとした言葉の言い回し(日英ともに)を調べるときにも使えるし、ネイティブに質問もできたりするし。インターネットが無かった時代はどうしてたんだろう。調べもの、たいへんだったんだろうなあ。

とりあえず、しばらくは日本語の本を読みまくるぞー。本屋さんで山のように仕入れてきました。いっぺんには読みきれないんですけどね。ついつい、よくばっちゃって。早速、これから、おふろで読むことにします。どれにしようかなー。

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あー落ち着いた

魔のウィークを乗り越え(まだちょこちょこ人がやすむけど、二人いっぺんはもうないはず)、土曜日はもうぐったり状態。それでも少しずつ訳しながら、徐々に調子を取り戻し、今日は完全復活。ああ、落ち着いた。やっぱり翻訳できると心の平安がもどりますねー。先週はちょっと半泣きでした。

今日は、気になっていたところの調べものをもう一度やって、最後の提出分の後半をきれい?にしました。キリスト教が絡んでくると、何気ない会話も、聖書のエピソードと何か関係があるんじゃないかと気になってしまいます。いろいろ調べてみたけどそれらしいのがない。マタイの5章18か?でも、ちょっとマニアックよね。聖書は子供のころから読んできたから、有名なエピソードならピンとくるはずなんだけど。やっぱり関係ないのかなー。調べものに時間をかけたあげくに、関係が無いことがわかるのってちょっとむなしい。でも、キリスト教とロックの意外な関係を知って少し賢くなった気分。

今日で、大体の形は出来たので、いつでも出せなくは無い状態なのですが、もうちょっと握ってたら、ひょっとしてもっといい言葉を思いつくかも・・・と思うと、つい手放したくなくなってしまいます。プロから見れば、猫じゃらしで遊んでる猫状態なのかもしれません。でも時間が許すならもうちょっとだけ。

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うー

今日はお昼を食べ損ねてしまいました。忙しいにもほどがあるわー。やっぱりひとりは大変。デスクワークのはずなのに(実はそうでもないのだが)、なぜだか体中が筋肉痛。疲れすぎていて翻訳しようと夜、机についても目をあけていられない。今週はなかなか手をつけられなかったけど、せめて疲れを土日に残さないように努めよう。来週になればみんなの休みが明ける。明日一日の我慢。

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あなどりがたし魔のウィーク

やはり、すごいことになっています。ふっ、魔のウィークをなめてたわ。6人の弁護士の集中砲火を浴びております(うちふたりの女性弁護士さんは遠慮してくださっている模様)。

朝から、お茶出したり、お客さんのお昼を頼んだり、郵便局行ったり。メール送ったり、ファックス送ったり。数え切れない作業をこなし、こま鼠状態。しかも、一人しか事務がいないときにかぎって、なぜか、急ぎの訴訟申立の依頼やら、仮差押の供託やらが、沸いてくる。供託っていうのは、裁判の保証金を法務局に積みに行くことなんですが、たいてい急ぎで、しかも、大金を積む事が多いため、緊張します。会社のひとがお金を持ってきてくれるので、安心だけど、そのひとたちの目の前で供託失敗しちゃったらどうしよう。2000万円近くの大金を持って法務局でおろおろするのはさけたい。 担当の弁護士さんは南の島にいっちゃうし・・・。

仕事中ちょっと半泣き状態。弁護士さんたちも「ひとりだと大変だねー」と口々に同情してくれましたが、同情するなら金をくれー、じゃなくて、出来ることは自分でやってくれーと叫びたい(実際はだいぶやっていただいてはいるんですが、それでもいっぱいいっぱい。)

そんなとき、先生からのうれしいお知らせが。最終章は急ぎません。あああー、ありがたやー。今日は寝るぞー。

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魔のウィーク

魔のウィークに突入。昨日までに完全に終わらせるつもりだったのに、推敲が残ってしまった。なんとか時間を作りつつ次の土日には終わらせたい。4連休では後ろに行くほど訳が進まなくなってしまいました。集中力がおちるのか、決断ができなくなっちゃうんですね。昨日うーんと時間をかけてもうまく訳せず、涙がちょちょぎれていた箇所が、今日30分だけ、帰宅まえによった喫茶店で、あっさりと訳せました。こんなことがあると、机にしがみついてばっかりが能じゃないのかなーという気分になります。いかにいい状態のときに訳すか、それから、自分のいい状態がいつなのかを把握するのは大事なことですね。今後の大きな課題になりそう。

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ひきこもり中

最後の4連休中。(あー、連休明けが怖い)フィードバック復習、粗訳、推敲① 推敲② 推敲ラストを同時進行しているので、進んでるんだか進んでないんだか、よくわからない状態。復習はしてる場合じゃないのかなー。でも、朝ちゃんと先生のと照らし合わせてから訳しはじめないと 訳が上滑りしてっちゃいそうで怖い。

とういわけで、ちょっとだけ復習のまとめ。

・かっこよくする! やわらかくすべきところと区別

・矛盾は解消する あきらめるなー

・ふさわしいせりふ?(子供に「トウがたってる」っていわせちゃだめよね。やっぱり。わかってたんだけどさ。)

・セリフに起こすべきときを見極める。(主観的なニュアンスの入る動作など 思った 見えたは消す)

・セリフ 感情の強弱見極め (×「なんてこと!」 ってほどの状況か?)

・説明不足 もう一歩踏み込む(多すぎる!!)

・違うニュアンスが混じる言葉は使用を控える(用済み→使えなくなった)

・原文を大事にする 色をぬりかえない

 原文がその順序だったりその言葉を使っているのには意味がちゃんとある。とくにうまい作家の人は当然考えてる。

・必要な主語は省かない

・専門的過ぎる言葉は避ける

・修飾関係がきちんとなるように 誰のことを描写しているのかはっきりさせる。どうしてもうまくいかなければワンクッションいれる。

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