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今回の反省

今回も視点の訳しかたに悩みました。この章は、主人公の妻の視点で描かれていました。主人公ではないので、少し客観よりにしながら、思考などは、その妻の主観になるよう訳すべきだと思いました。ただ、今回の場合、ある人物が初めて出てくるのですが、作者はその人物を途中まで伏せておきたいようす。妻はその人物をよく知っているので、あまり客観的でも、逆に主観的すぎても、妙なことになってしまう。かねあいが難しいところでした。

当番なので気合いを入れ、あらかじめ先生に聞かれそうなところを想定して問答集を作っていったのですが、想定外のところを聞かれると、頭がまっしろに・・・。私の場合、後半部分に手抜きが多くなる傾向がいつもあるのですが(短いのに息切れしてしまう)、今回も同様。想定問答集も後半手抜き状態、答えられなくなるところが多くなってしまった。答えにつまってしまったところは、自分でも詰めきっていないと自覚しているところでした。

とりあえず、反省。
・いきなり訳ぬけ
 ああ!冒頭の日時のところを訳し忘れてる!注意力散漫ですね。気をつけなくちゃ。

・キャラのイメージに合わない形容詞をどうするか(やっぱり辞書に縛られてる)
 この章の主役は弁護士の妻。着ている服の描写がでてきたのですが、それが、とあるブランドのknockoffのスーツとなっていました。knockoffは辞書を見ると「コピー商品、安物」。下手に訳出すると、胡散臭さがでてしまう。どう考えても、胡散臭いキャラでゃない。弁護士の妻だし、夫は刑事弁護でそこそこ儲けているようで、むちゃくちゃお金に困っているようすもない。ただ、今後、夫は自分のやりたい仕事に就くためお金を貯める必要はあるようす。夫の母親の病院にもお金がかかるみたい。ここは節約している雰囲気を出すため、訳出した方がいいのか・・・・。悩んで、しばらく先まで、彼女が描写されている場面を原文で検索してみたのですが、節約方向で訳されている場面も見あたらず、そのブランドのスーツも、調べた感じでは、カジュアル系でむちゃくちゃ高級でもないのかなと。そこで、変な色を付けるよりは、と独断でカットしてしまいました。でも、やっぱり作者はちゃんと意図があって描写をしているわけで、カットはまずかった。にげちゃだめ。
みなさんきちんと処理されてました。そうよね、そうすればよかったんだ。なんで思いつかなかったんだろう。頭堅いなあ。自分だけ出来ないとへこむわー。たまに、みんなが軽々と出来てしまうことが出来ないことがある。クラスのレベルが私には高すぎるのか、それとも、なにかものすごく基本的な能力が欠けてるのか。

・マイナス要素とニュートラルな表現が混在するとき
 男性の描写で、ほとんどマイナス方向の形容がされているなかに、黒い髪など、マイナスではない形容が混じっていたときにどうするか。先生は分けて前に持っていったらどうかという提案をされました。どれをニュートラルな表現ととらえるか、という解釈が、先生とは違ってしまいましたが、とりあえず意識はできていました。そのこと自体は誉めてあげよう。

・微かな違和感
 すっきりした表現にしたくて、ヤニという言葉を使ったけど、先生にご指摘を受けたように確かに違和感はあった。やはり、ちょっとでも違和感があったら避けるべき。

・普通に訳そう
 やっぱりやっちゃだめだった。「呼称番号」なんて言われても普通の人はわかんないですよね。
 いや、ダメだしされることはわかってたんだけどつい。調べたことは、盛り込みたくなりますが、説明しないと読者がわからないような専門用語は使わない。「見て見てー、こんなに調べたのよ~」的な訳はだめ。

・カットしすぎ
 「信じられないな。あんたみたいな美人がねえ・・・」・・・の部分、原文では「あの弁護士の奥さんとは」が入っています。最初は入れて訳していたのに、推敲の時に、カットしてしまった。短い方が決まる気がしちゃって。安易にカットはしない。発言者とその弁護士との確執を表す大事な部分かもしれない。なくても分かるだろうと思ってカットしてしまいましたが、分かりません。わかるだろうで切っちゃうことがよくあるので要注意。今回ここ以外にもありました。独りよがりにならないように。基本的に、カットしない姿勢でやっていこう。

・出来事と、登場人物の感情の変化
 今回は、弁護士の妻が依頼人に面会にいくのですが、そこで受付のエロおやじにセクハラ発言を受けてプチ切れし、はったりをかましてやっつけるというシーンがありました。私は彼女の怒りがクレッシェンドで大きくなっていくのを感じたので、その原因となるエロおやじのセクハラ行為(言動?)、"leer" "pretty lady" "You smell good"には特に注意し、少し誇張して訳しました。そして、彼女のはったりを聞く前と後の、エロおやじの態度の変化にも注目し”look down”とma'amの訳出に色をつけました。
こういう演出はOKだったようです。

・分かっただけで満足しない
 "I'll buzz you through"誤訳はなんとか避けたものの、気がついたことで満足してしまった。その先が大事。読者に分かるように訳すこと。そのときは問題ないと思っていましたが今見ると必要なニュアンスが抜けています。これで分かるよね、的な、独りよがりな訳はしない。

・目からウロコ
 今回作者がある登場人物の正体を途中まで伏せておきたいかんじだということはよくわかっていました。でも女だと言うことは、出さないといけないのかと、すっかり思いこんでしまっていたので、訳がぎこちなくなってしまいました。しかし、これは単に言葉の違いの問題だったのですね。先生の説明で目からウロコが。そうよねー、英語はSheかHeにするしかないもんなあ。

・堅い文章でテンパるわたし
お堅い文章を訳すとき、どうも余裕がなくなってしまう。かみ砕くべきだと分かっていたのに、誤訳が怖くてがちがちになってしまった(その割によけいなことはしちゃうのよね)。後半になり息切れもしていました。このくらいで息切れしない。先生のように頭のなかで理解してから分かりやすく整理して訳すこと。

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読了 「ベストセラー小説の書き方」 ①

しばらく、お手洗い本兼お風呂本となっていた、「ベストセラー小説の書き方」(ディーン・R・クーンツ著)、読み終わりました。(いや、ベストセラーを書こうとか、そんな大それた野望があるわけではないです・・・念のため。)作り手の気持ちがよくわかり、文芸翻訳を勉強する上では、とても参考になる本だと思います。Dog earがたくさんできました。備忘録もかねて、参考になったところを幾つかご紹介します。

・アクションシーンで使用する動詞

 作者は「アクションシーンを書くときには派手で緊迫した動詞がアクションを盛りあげ、引きしめる」として、自分の作品を例に出し、便所を「離れた」ではなく、「体当たりした」、戦闘機が「飛ぶ」ではなく、「弧を描く」、爆弾を「落とす」ではなく「ぶっ放す」などとして、強くて動きのある動詞をなるべく使うようにしたと書いています。(作者がここで例に挙げた小説にはコメディータッチでもあったので、とくに派手な動詞を選んだようです)但し、こうした動きのある動詞をセンテンスごとに使用すると、甲高いばかりの一本調子な文章になってしまうので、乱用せず、文章にリズムを持たせるべきだとしています。

―作者がこれだけ、動詞ひとつの表現に気を配っている以上、訳者は、妙な訳語を当ててその気配りをぶち壊したりしないよう、細心の注意を払わないといけないですよね。

・舞台設定

ある作品が例として挙げられ、舞台設定が作品に与える効果について述べられています。作品の舞台となったキャッツキル地方は、かつて数多くのエンターテイナーを輩出し、ギャンブルで栄え、不況の波に飲み込まれていった土地なのだそうえす。いわば、破れた夢、失われたチャンス、果たされなかった約束のシンボルであり、精神的な破綻から、破滅と狂気の世界に身を落としていく腹話術師にはふさわしい舞台となっている、と作者は説明しています。

また、逆に、ホラーなど非日常的な出来事が起こる作品では、どこにでもある普通の場所に物語を設定し、ふつうの仕事をもつ、ふつうの人々を描くことでリアリティを植えつける手法をとるそうです。そのため、設定された舞台がニューヨークだったとしても、活気に満ちた騒がしい一面については描写が抑えられ、どこにでもある一都市として描かれるのだそうです。

―舞台設定の意味は、訳し始めのときによく考えさせられる問題です。どうして作者はそこを舞台にしたのか。作者はどんな物語にしたいのか。どんな色をつけたいのか。

少し理解が深まった気がします。

・詳細に描かれるシーン

無駄に描かれるシーンはありません(良い作品なら、無いはず)。作者の紹介する、ある作品では、エレベーターの点検と修理のシーンが何度か出てきて、装置の仕組みについて説明されます。このシーンは、エレベーターに乗っている人たちに何か恐ろしいことが起こる気配を読者に感じ取らせる、伏線になっているそうです。

―そんな作家の狙いに気づかず、「エレベーターの説明、ちょっとしつこいよ」なんて、勝手に抜いて訳したりしたら、また作品をぶち壊すはめに。ああ、おそろしや。

・会話での注意点

作者は小説に出てくる会話は、現実生活とは違うので、回りくどくならないよう、要点を述べるべきだといいます。そうでなければ、作品が間延びして緊張感がなくなってしまうそうです。

―訳す立場としても、そういう作家の配慮を汲み取り、要点をついた会話になるよう訳さないといけませんね。

また、この作者によると、会話は、地の文(「と誰々は言った」)がなくても誰のセリフかわかるようにするのが本当で、そうでなければ会話自体に問題があるのだそうです。

―ちょっとこれは意外に思いました。日本の作家は地の文をつけないことが多いけれど、向こうの作家は、結構地の文をつけていることが多く(「わたし」も「ぼく」も"I"なので、誰のセリフかわかるようにするため必要になることが多い)、普段意識してはずして訳しているので。でも、日米問わず、地の文がなくても分かるセリフが望ましいんですね。リズムを壊してしまうことがあるからでしょうか。

この作者も、話し手を明示する必要性がある場合は、9割がた、「言った」「たずねた」で事足りると述べ、強い言葉が必要なときでも、「叫んだ」「主張した」くらいの、風変わりではない言葉を使ってリズムを壊さないように勧めています。(「身震いしながら言った」「躍りあがって喜んだ」などと使うのはアマチュアか、リズムの分からない不幸な人だそうです。きつい・・・・・・。そんな訳をしがちなので、肝に銘じておきます)

―②に続きます。その前に、お当番の反省しなくちゃ。でも、詳しくみるのが怖い・・・・

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当番だった

昨日は、翻訳の授業で当番でした。派手な誤訳はしないですんだけど、あぶないところだった。最初にばばっと訳した段階のものは基本的に信用しちゃダメだな。あやうく、セリフの発言者を間違えるとこでした。その表現が「フレンズ」の中で使われていたのを聞いていたので気がつくことができました。やっぱり、たくさんたくさん口語表現に触れないとダメですね。海外ドラマは有効ということが実感できたので「フレンズ」勉強法は続けようと思います(楽しいし)。

ただ、例によって気がついただけで満足してしまったので、その先の、表現を整えるところまで頭が回りませんでした。自分では先生が使っている意味で訳したつもりだったのですが、上手く伝わらない訳になってしまった。最後まで気をぬかないこと。

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い、いたい・・・・

ステッパーが届いて、毎日調子に乗ってステップしていたら脚の付け根がちょっと痛くなってしまいました。フレンズ見ながらやってたら、つい、長く踏みすぎてしまったようです。翌日、遅刻しそうになって猛ダッシュしたのもまずかったかも。弁護士会であんまりエレベーターが来ないので、6階まで階段上っちゃったのもまずかったかも。昨日はそれほどでもなかったのに、朝起きたら歩くのも困難に。月曜仕事にいけるのかしら・・・。火曜は翻訳の当番なのに・・・意地でも治さなければ!

 それにしても、ダイエット器具を買うなんていったら、ばかばかと大反対されると思ったので、こっそり買って見えないところにしまっていたのに、(効果が出たらネタばらしするつもりだった)これじゃますます言い出せない。痛い原因はわかっているのだけど、打ち明けられない悲しさ。まぬけすぎ~。

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前回の反省

今回は、細かいところの処理はそれなりにできていたけれど、肝心な流れをとり間違えてしまいました。こういう間違えは結構こたえます。とにかく、とにかく文の流れ。

・その言葉、訳し出すべきか?
原文の味として訳出すべき表現か、英語独特の強すぎる表現か迷ってしまうことが多いですが、判断基準は、文脈の中で訳し出すべき必然性があるかどうか。今回も何カ所かありました。すべて意識はできていましたが、判断ミスもあり。とにかく、文の流れ。

・適切な訳語の選択
 違和感は強く感じるのに、辞書に縛られてしまって最適な訳語を当てられないときがあります。シリアスな法廷物なのに、その訳語でいいのか?自分が読者だったら、細部でも、ひっかかってしまって楽しめないはず。英語のお勉強をしているわけではない、読んで楽しめる物を作っているんだというプロの意識が大事。
・特殊な言葉
 そのまま訳したのでは、意味がわからない言葉は(専門的すぎるとか)わかるように情報プラスするか(説明をする)、逆に情報をマイナス(専門的な部分をカットするなど)して訳しますが、今回はわたしはプラスしました。しかーし、間違った情報をプラス。プラスするときはくどくならないように。もちろん、間違ったら絶対だめ。プラスは必要性があるかよく吟味してからの方がいいかも。

・唐突感が出ないように語順を調整。
原文の語順で訳すと、いきなり、話が飛んだ感じになってしまうことがあります。そんなときは前の文とうまくつながるように語順を変える必要があります。
 今回は配慮できていましたが、一文が長くなり、くどい文章になってしまった。先生は二文にわけたうえで、文脈になめらかにとけ込むよう、かみ砕いて訳していらっしゃいました。語順を変えただけで安心しないこと。そのあとも配慮できるように。

・嗚呼、誤訳
早い段階で訳を確定してしまったのが敗因。受験英語では、主語述語などすべてそろっている文が当たり前ですが、日常会話や、洋書に書かれた文章などでは、よくいろんな言葉が省略されています。そんな場合は省略されている言葉を頭の中で補うのですが、間違って補ってしまいました。、また、それが文法的には変じゃなかったのがまずかった。そのため自分を無理に納得させてしまったけど、確かにはじめ違和感がありました。次の文とのつながりが悪くなり、余計な言葉をプラスするなどして、一生懸命辻褄合わせをしましたが、そんなことをしなければならないときは絶対誤訳!です。なんども経験してるのに、何で繰り返すかなあ。つじつま合わせで必死になって目の前しか見えていないからこんなことになる。 
 
・文はつながっている。
 文章というものは前の文章をうけてつながっている、という当たり前の事実を忘れないこと。訳してみて唐突に文が浮いている場所があったら必ずマークする。そしてそのまま放置しない。その文章の存在意義をしっかり考える。 

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前回は・・・

今回の課題では、おもいっきり誤訳をしてしまい、しかも誤訳したうえにそっちの方向で、しっかり色づけまでしてしまったので、あまりの恥ずかしさに、提出できませんでした。やっていったのに提出できなかったのは、久しぶり。エルロイの頭韻のとき以来です。いや、あのときは、先生にばれて、出しなさいと言われ、泣く泣く出したんだっけ。最初の段階で、確かに、別の訳がありそうだという違和感センサーが働いていたのに、なぜ無視してしまったのか?前もこういうことがあった。あまりはじめの段階でそうだと思いこんでしまわないこと。何度も何度も言うけど、辻褄合わせに苦労するときはだいたい誤訳!
最後に会話だけ取り出して、きちんとキャッチボールしているか確認しようと思っていたのに、結局やらなかったのも間違いのもとでした。
課題を出さなかった罰があたったのか、次回はお当番。逃げも隠れも出来ません。

(しかし、この課題でこんなことをやってるようじゃ、来期からのエルロイ、思いやられる・・・・・・。)

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ほっぺたが・・・ 黒船のカステラ

Dsc00333 銀座松屋に寄る用事があって、思わず週末のおやつ用に買ってしまった。ふわっと軽くって、ほんとにおいしかったです。賞味期限が書かれておらず、お店の人にも、本日中に食べてくださいと念を押されました。添加物が入っていないのだとか。

子供のころ、ぐりとぐらという絵本で、カステラを焼くシーンが出てきて、大いによだれを垂らしていたものですが、まさに、これはそのころ想像していた、ぐりとぐらのカステラの味 また買ってこよう~っと。

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