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読了、ベストセラー小説の書き方② および最近の読書

①のつづきです。

・場面転換をするとき

 作者は、たくみな場面転換は読みやすく流れるような文体をつくる上で大きな役割を果たすため、余分な描写などをせず、速やかに読者を次の場面に案内するよう勧めています。主人公がどこからどこへどのように移動するかという情報は、ストーリーに新しいことを付け加えたりしない性質のもので、詳しく説明するとストーリーが失速することになるから、だそうです。

― 主情報ではない情報の描写はなるべくさらりと。これも、翻訳の授業で何度も教わりました。面白かったのは、作者が例としてあげた上手な場面転換の方法。前の場面とあとの場面の間に、一行空白をいれて、がらりと転換するのですが、その場合、前の文章の最後に、次の文章(場面)へとつながる橋渡しの言葉を用意するとスムーズにいくのだそうです。このあたりも心得ておかないと、橋渡しの言葉を、バラバラの訳にしてしまったりして、作者の意図を台無しにしてしまいそう。

・視点の問題(一人称、三人称など)

人称や視点の問題も、いろいろと参考になりました。一人称は読者の共感を呼びやすく、物語の世界に引っ張り込むには適しているけれど、当然ながら、語っている本人の描写ができない。主人公が出会う相手の反応から、主人公の姿を推測させる形をとらざるをえない。(本人に語らせると、ナルシストっぽくなってしまう)また、自分以外の登場人物の心理描写がしづらいという問題点がある。そのうえ、主人公が共感できないキャラだと逆に本を置かせてしまう危険もはらんでいる。そこで、この作者は三人称で書くことをすすめていますが、その場合の視点の置きかたもいろいろ工夫しているようです。例としてあげた作者自身の作品では、のちに容疑者となる人物(仮にXとします)を描き出すために、X自身に視点を置くことを避け、第三者(ほぼ脇役)に語らせる形をとっています。そうすれば、容疑者の外見を描写することができ、同時に、容疑者の内面までは描かないですむことになり、効果的に容疑者としての役割を果たさせることができるのだそうです。

― うーん・・・ますます視点の訳し方に悩んでしまいそう。やっぱりここまで考えてるのねー。なんとなく訳しちゃうとまずいわけだ。

また、授業でも先生がよくおっしゃるように、ひとつのシーンで視点をころころ変えないようにというアドバイスもありました。作者の存在を読者に感じさせ、リアリティを破壊してしまうからだそうです。

作家自身による小説指南本、とてもためになりました。何冊か読んでみましたが、やはりアメリカの作家のものが、翻訳の勉強にはよさそう。こんどはスティーブン・キングの小説作法を読んでみようかな。やはり、物語のつくりかたについて書かれている「ハリウッド・リライティング・バイブル」という本(ハリウッド映画の脚本製作の黄金律のようなものが書かれているらしい)が、面白そうだったので探していたのですが、どこの本屋でも入手不可能で、原書で取り寄せて読み始めています。なかなか新鮮。

ついでに最近読み終わった本も

「日暮し」宮部みゆき ・・・時代物。やっぱり物語のつくりかたが上手い。ちょっと分析して、仕組みを調べてみたくなりました。時代物というのは、キャラクターを派手めに作っても不自然にならないので(今は、こんなひといないよーってくらい、極端に善人に描いても浮かない)、メリハリがでますね。作者としてはやりやすいのかも、と思いました。

「東京下町殺人暮色」宮部みゆき ・・・ 良くも悪くもスナック感覚でした。

「ラッシュライフ」 伊坂幸太郎 ・・・ 相変わらず緻密。上手くなっているけれど、青臭さが抜けていて個人的にはちょっと残念。独特の、現実にはありえないような台詞回しも好きなんですが、この作品では薄められているような。それにしても、才気あふれる作家さんです。

洋書のほうは、「エラゴン」を半分読んだところで挫折(半分読んでも興味が持てなかったのでやめることにしました。無理して読んでもすすまないしねー)、

今は同じく下訳前に読んでいて止まっていたダン・ブラウンのAngels & Demonsを読んでいます。すっかり内容を忘れていたので最初から読みなおしています。スケールがやたら大きなお話ですね。ビッグバンを創り出すのに成功した!とは。荒唐無稽といってもいい話なんだけど、ついついページをめくってしまうのはやっぱり、読ませる腕があるってことですね。殺人の動機もそれなりに説得力があるし。

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