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七人のおば:パット・マガー著 読了

本格ミステリーの傑作だとのことで、面白そうだったので読んでみました。いっき読み!前回の復習もしなくちゃなんないし、通信教育の締め切りも間近だというのに、読み始めたらとまらなくなってしまった。

新婚の妻サリーのもとに、おばが夫を毒殺して自殺したことを知らせる手紙が舞い込む。しかし、肝心な加害者と被害者の名前が書いていない。おばは7人いるのだが・・・。気になって眠れない妻のために、夫のピーターは、妻が語るおば達と暮らした日々の回想から、犯人と被害者を推理する。

早くに両親をなくしたマーティン家の娘達(おば達)の親代わりを務めていたのが、長女のクララとその夫フランク。クララは世間体を何よりも重んじる人物で、その価値観にもとづいて、妹たちに夫をあてがっていく。しかし、偏った価値観にゆがめられた結婚はどれもて綻びが出来ていて、世間体を恐れたクララがその綻びをつくろおうと試みるたびに、さらに事態は悪化していく。状況を聞く限り、どのおばがどの夫を殺してもおかしくはない。はたしてピーターが出した結論は?

すさまじい人間ドラマ。どろどろの家庭の中を、年若い姪のサリーが傍観者として見ているかんじは、ちょっと「家政婦は見た」っぽい!? かなり古い作品のはずだが、こういう人間同士のごたごたというテーマは古びることがないのか、作者の腕のせいなのか、まったく古さは感じない。話自体は、姉の夫を妹が奪ったり、専業主婦の妻がアル中になったり、と、昼メロにでも出てきそうなありがちな話だけれど、キャラのセリフや反応が、ステレオタイプに陥いっておらず、とてもリアルで、想像上の人物であることが信じられない。作者の人間観察の鋭さに脱帽。

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ボーンコレクター:ジェフリー・ディーヴァー著 読了

お、おもしろかったー。聞きしに勝るジェットコースターぶり。法務局の供託課でウン百万もったまま没頭してしまい、窓口の係員に何度も名前を呼ばれてしまった。危ない、危ない。しかし、このジェットコースターを止めない訳者もすごいわ。わたしだったら止めまくりそう。

いい作品というのは、やっぱり、キャラクターが魅力的ですね。主人公のリンカーン・ライムは鑑識中の事故で四肢麻痺患者となった科学捜査の専門家。自分では指一本動かすことさえ出来ない状態にもかかわらず、怖ろしいほど切れる頭で、ベットに横たわったまま犯人を追いつめていきます。現場に行くことが出来ないライムの手となり足となり、目となるのが、ヒロインのアメリア・サックス巡査。心に傷を抱えており、モデル並みの美貌に恵まれながら、自分の皮膚をかきむしる自傷癖を持っています。

脇役陣も魅力的。特に介護士のトムがいいですね。身体が思うようにならず、癇癪を起こすライムを、決して甘やかすことなく、母親のような厳しさと優しさで支えています。

犯人の動機も説得力があり、ひねりが利いていてよかったです。ミステリとして間違いなく超一級品の本作ですが、障害をもった方の心の機微がリアルに描かれていたりして、たんなるミステリにはとどまりません。ライムとサックスの恋も、純愛好きな中年女性にはたまらないですねーc(>ω<)ゞいろんな楽しみ方が出来そうです。

ミステリ翻訳の参考図書としてもよさそう。鑑識の専門用語や、警察組織のことなどバシバシ登場するので(巻末には鑑識用語集までついてるし)、原書と一緒に揃えてみてもいいかも。

最近買った、ミステリ作家読本によると、作者のジェフリー・ディーヴァーは、「化けた」作家だそうです。日本に紹介された当初は、評判もぱっとしなかったらしい。それが「静寂の叫び」をきっかけに、一気に才能が開花、現在に至るそうです。大化けだなー。

いいなー。わたしも化けたい。

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久しぶりの授業

先日ようやく新学期(懐かしい響き)が始まりました。ひとり淡々と勉強していると、つい、だれてしまいがち。通学のいいところはやっぱり、刺激が多いところです。久しぶりの授業は刺激たっぷりでした。中身はもちろんですが、気合いの入ったクラスメートたちとふれあえるのが、又いい刺激になります。

赤ちゃんを産んでお休みしていた○○さんも、早々に復帰!仕事の方も続けながら、翻訳の勉強も再開されるとのこと。当番の○○さんは、冒頭部分の当番に当たるために、あえて一番乗りで講座の申込みをしたのだとか。さらにいわく、何回も当番にあたれるから得でしょ、とのこと。頭が下がります。このクラスのほかにも文芸翻訳のクラスをとって、頑張ってらっしゃる方もいます。すごいなー。やる気がビンビン伝わってきます。

みんな本気モード。遊び半分でやっているひとはいません。わたしも頑張らなくっちゃなー。とりあえず、原書を読んだ段階で放置していた、リーディング講座をおわらせなくては!(授業が始まったのでその予習と、他に読みたいペーパーバックがあったのでそっちを優先してました。でも、そろそろお尻に火が・・・)

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お引越し

この間の漏水事故で、ボス弁が引越しを決意してしまった。行動力があるので、あっという間に決まってしまい、6月あたまに引っ越すことに・・・。準備が大変そう 6月になったら、同僚がひとり、お産でやめてしまうというのに~。彼女はもの凄くしっかり者だったので、いなくなるのはかなり不安です。だいぶ、頼りにしていたからなあ。これからは、大学でたての新人ちゃんとふたりきり。(あと二人いますが、ひとりは経理(この子も新人さん)で、もうひとりは50代のベテランさんですがちょっと別の仕事をしているので、あまり頼れない)。普段どおりの仕事をするのも不安があったのに、そのうえ、引越しとは・・・・。

そんなときに、さらに悲しいお知らせが。今産休中で、9月に復帰するはずの同僚が、もしかして保育園が確保できないかも・・・とのこと。ああ、泣きっ面にハチとはこのことだわ。3ヶ月しのげばなんとかなると、頼りにしてたのに・・・。ボス弁もさすがにあせって、自ら代わりの保育園を探してましたが、いま本当に空きがないんですね。キャンセル待ちらしい。いったいこれからどうなることやら。

そんなこんなで、しばらく荒れていましたが(自棄酒を飲んでました。でも、勉強はしてましたよ~)、わたしはわたしがやれることをやるしかないと開き直ることにしました。ひとりで背負い込もうとするから気が重くなるのさ!やれないことはやれないもんねー。あとはしーらない。弁護士さんたちにも、ある程度自分のことは自分でやってもらうしかありません。非常事態なんだから。そう、それでいいのよ。

でも、やれることはなるべく効率よくやれるように、事務処理の効率化めざして、ファイルの整理をしています。エクセルで作っていた申し立て手続きのマニュアルをさらに進化させて、手続き名をクリックすれば、関連ファイルがすべて表示されるように、ファイルを一箇所に集めてリンクを張りはじめました。ファイルを探すのにいつも手間取っていたので、これで少し効率がよくなると思う。

あとは、何か手続きをするたびに、間違いそうになったところ、新しく知ったことなどを、細かくメモするようにしました。(いまさらですが・・・)優秀だった同僚のやり方を、新人に戻ったつもりでマネしています。実際彼女に甘えすぎていた気はする。天然ボケで抜けてるし、決断力、気配りなどの点ではとてもかなわないけど、こうやって細かくメモしていけば、少しはましになるかもしれない。これからは、わたしがしっかりして、新人ちゃんたちをひっぱっていかなくちゃならないんだものなあ。もし、やめるようなことがあっても、細かいマニュアルがあれば役に立つだろうし。

今後ひとりで決断しなければならないことも大幅に増えそうで、優柔不断な自分にはそれも気が重いことです。でも、ものは考えよう。決断力がつけばきっと翻訳するうえでもプラスになるはずです。優柔不断がわたしの翻訳力の足を引っ張っているのは明らか。転んでもただでは起きないもんねー。

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母来襲

昨日母から電話があり、「明日行くから」だって・・・。弟といい、どうして、うちの家族はこう、マイペースなのかしら。せめてもう2,3日早くいってくれー。

今日は朝からおおわらわ。自分の親だから適当でいいやと思ってたのですが、同居人が窓のサンを人差し指ですーっとなぞって、これみよがしに、ふっとそのホコリを吹いてみせたりするので(おのれはシュウトメか!)、しかたなく大掃除・・・・・・。掃除って結構、体中の筋肉使うんだなあ、と改めて実感。これは明日筋肉痛だなー。(体力なさすぎ・・・)

母は、おこわ弁当をふたつ持参で遊びに来て、ひとしきり最近読んだ本の話をしてかえっていきました。なんだったんだ・・・。おみやげに、お勧めの本をもたせてあげました。(母も大の本好きです)

掃除は疲れたけど、おかげで家はぴかぴか。自分の家ではないようだわ。

それに、母がうなぎとシュウマイを買ってきてくれたので、夜は手抜きができそう。さあ、勉強再開。夕食まではまだ時間があるぞ。

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味噌汁で顔洗って出直してこーい

いまとっている、リーディング講座のテキストで、ミステリーのジャンルについて軽く触れられていました。改めて考えてみるとそこらへんの知識もあやふやだったよなあと、ミステリを愛する作家や編集者が編んだ、ミステリ作家読本なるものを買ってきて読みはじめてみたのですが・・・・・・な、なんなの、このひとたち。すごすぎるんですけど。知識の量が半端じゃない。そうか、ミステリ好きのひとたちって、こんなに読んでいるんだ。いまさらながら、マニアの圧倒的な愛に呆然。テキストの、越前先生のエピソードも凄みがありました。大学時代、ミステリ好きの仲間のなかに、ずば抜けて豊富な男性がいたそうなのですが、1000冊読破するまではファンやマニアと自称するなというある作家の言葉にならって、900冊読んでいても、決してファンと名乗ろうとしなかったとか。

そんな読み巧者たちに読ませる本を翻訳しようなんて、身の程知らずもいいとこじゃないの。もんのすごーく、恥ずかしくなりました。ほんと、味噌汁で、おもいっきり顔洗いたい。翻訳家になりたいなんて、思いあがりもはなはだしいセリフは、この人たちの前では口が裂けても言えない気がする。日本の作家ならそれなりに読んできたと思うけど、海外ミステリーの読書量はそう多くはない。とりあえずは、立派なマニア目指して、かたっぱしから読んでいこう。しばらくは、国内作家ものは封印だ!

と、いうわけで、とりあえず、「死の蔵書」、スペインのミステリー「風の影」上巻、「ボーン・コレクター」100ページ読了。ジェフリー・ディーヴァー、好み。翻訳もうまい。シリーズで読んでみよう。

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読了しましたー。

通信教育の課題本読了しました。ほんとは昨日読了する予定だったんだけど、弟来襲の余波でちょっと二日酔いが・・・。今日はその遅れを取り戻すべく100ページ読みました。メモをとったり、のんびり単語の用法など調べたりしながらだったので、思ったほど進まなかった。でもまあ、それでも昔を思えば、だいぶましになったものだわ。数年前初めてリーディングをやらせていただいたときは、お休みの日でも、40ページくらいしか読めていなかった気が・・・。さらにさかのぼって、翻訳の勉強を始めたころなんて、「翻訳をしようというからには少なくとも一日10頁は原書を読んだほうがいい」という、とある翻訳家のアドバイスを記事で読んで、「えー、10pなんて無理だよー」と思ってた記憶が・・・。

結構面白い本でした。今日は読み終えられないかな?とも思っていたんですが、途中から先が気になって止まらなくなってしまって。それにしても、和書洋書問わず、本をガーっといっき読みすると、なんだかスポーツをした後のような爽快感があって、気持ちがいい。

あとはこの膨大なメモを簡潔にまとめなくては。最初は、ざっと読んで、記憶に残ったところだけ書き出そうかとも思いましたが(そのほうが枝葉が落ちるかなと)、やはりメモは読みながら細かく取っていったほうがよさそうです。何気なく挿入されたエピソードが伏線になっていたり、通行人程度のキャラかと思ったら意外と活躍したりするので油断がならない。新たなキャラや、エピソードが出てきたら、とりあえずメモって置いたほうが無難かも。

ああ、次回の授業の課題にも手をつけなくちゃ・・・。

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弟、来襲

春休みで帰省していた弟(いまだに大学生)が、突然電話をかけてきて、急遽会うことに・・・。金曜の夜に飲んできました(散かってるので、部屋に上げるのはナントカ阻止)。前日電話してきて、明日いくから、よろしく!っていうのはないんじゃない?あいかわらず、人の都合というものを考えないのよね、あやつは。

わが弟ながら、本当に変わり者。大学の法学部をでて、大学院まで出て、何を思ったかいきなりアフガニスタンに井戸を掘りに行き、そこでまた何を思ったか、いきなり医者になる!と言い出して、帰国。今はとある大学の医学部に通ってます。無事お医者さんになれても、果たしておとなしく病院づとめしてくれるのかしらと危惧していたら、やはり、よからぬことを企んでいる気配。まったく。お母さんが泣くわよ。どうしてそんなキナ臭いところにばかり行きたがるのか・・・。まあ、気まぐれだから、2年の研修期間に、また目標が変わってそうだけど。大学のときも、いきなり音大に入りなおしたいとか言い出して(ピアノに凝っていた)、みんなで必死に説得した覚えが・・・。

とりあえず、ちゃんと、お医者さんになってください・・・。今度は途中で気が変わったとか言い出さないでよー。

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通信教育は久しぶり。

月曜の夕方ポストを覗いたら、申し込んでいたリーディング講座の教材が届いていました。早速その晩、テキストに目を通して、火曜日から原書を読み始めています。しばらくは、下訳の復習、訳し直しの自主練はお休みして、こっちに集中することにしよう。仕事をもらったつもりで、全力投球! よいシミュレーションになりそう。

二冊の原書読むコースです。一冊目はやさしめの洋書(辞書ひかなくても意味はとれるくらい)ですが、メモを取りながらだと、意外に時間がかかります・・・。半分くらいまでは読んだので、明日の土曜日でいっきに最後まで読了!と、いきたいところだけど・・・。

教材が届くまでのあいだ、昔自分で書いたシノシプスを読み返していたのですが、すっかり作家気分を楽しんでしまっていて、凝った表現などつかいまくっており、読んでいてちょっと恥ずかしかった。あれもこれもと盛り込みすぎていて、まとめきれていないし。

届いた講座のテキストには、そのものずばり、「凝った表現を使うな」「枝葉を落せ」と書かれていました。しっかり、やっちゃってたよ・・・。

リーディングは翻訳の勉強になると言う話は良く聞きますが、久しぶりに取り組んでみて、これは効くわ~という気がしてます。大筋を読み取って、話がどう構成されているか把握する力は、一冊やる時場合には不可欠な能力ですよね。幹と枝葉を見分ける能力も、とても大事な気がする。幹と枝では訳すときの比重のかけ方が違ってくるだろうし。というわけで、訳すことも意識しながら、課題に取り組んでみようと思います。

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